最大の課題、客数をしっかり伸ばす! 新社長の本間正治氏が語るマルエツの戦略

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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客数を伸ばして
トップラインを上げる

 2022年度(23年2月期)決算は、非常に厳しい結果となった。とくにマルエツは17年から 6期連続で客数が前年割れとなっている。コロナ感染が広がった20年は、客数ではなくて客単価で売上が伸びた構造であり反動減の影響を大きく受けた。

 今年の最大のテーマは、トップラインをしっかり上げることだ。売上が増えるのは、お客さまに支持されることであり、まずは客数を伸ばすことが最大の課題だと思っている。

 今期もすでに2カ月が過ぎた。4月には消費者の傾向が一転し、客数が対前年同月比104.2%と大きく増えた。5月も雨の日はあれども客足は止まっておらず、都市部の「マルエツプチ」を中心に客数が2ケタ伸長してる店もあり、人流が変化している。

 しかし、人が動くからといって必ずしもマルエツの来店につながるとは思っていない。われわれはこれまでどちらかというと“内向き”だったため、もっとお客さまに向けて提案や情報発信をしていく必要がある。

 コロナ禍で賑わいにつながる販促企画や集客策は控えていたが、節目が変わったこともあり、各地域、各店舗で行っていきたい。そしてそれを本部がしっかりサポートしていく。

アプリ活用によって
パーソナルな対応を

今年はさらに10万人増やしたい
今年は「マルエツアプリ」の会員数を10万人増やしたい考えだ

 多様な価値観への対応では、従来のチラシだけではなくて、アプリによって個々に寄り添った提案を図っていきたい。現在、「マルエツアプリ」の会員数は約35万人で今年はさらに10万人増やしたい。リアル店舗だけでなく、デリバリーなども交えて、パーソナルな対応を追求していく。

 「LINE」や「Twitter」などのコミュニケーションツールも活用し、デジタルに馴染みのある若い世代が、マルエツをアピールできる方法を楽しみながら、積極的に取り組んでいけるような組織風土に変えていきたい。

 小売業は、やはり店舗で働く「人」が重要だ。高性能なデジタルソリューションを導入してもそれだけでは店はよくならない。そのため社員との向き合い方も今まで以上に大事にしていく。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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