「バスチー」大ヒットに導いた! 群を抜く、ローソンのデザートマーケティング

2019/08/09 05:37
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    コンビニエンスストアのローソン(東京都/竹増貞信社長)が3月から販売するスイーツ商品「バスチー」の売上が好調だ。その勢いはすさまじく、同社の看板商品の1つである「プレミアムロールケーキ」をも凌駕するという。なぜ「バスチー」は消費者の支持を得られたのか。近年ヒットが続くローソンのスイーツ開発の裏側を明らかにする。

    ローソンのヒット商品「バスチー」。30~40代の女性を中心に支持を集めている
    ローソンのヒット商品「バスチー」。30~40代の女性を中心に支持を集めている

    「GODIVA」とのコラボも!本格スイーツの開発に注力

     ローソンのスイーツ開発の歴史を振り返ると、2009年9月にオリジナルスイーツシリーズ「Uchi Café SWEETS」の展開をスタートした。なかでも同年発売で今ではローソンの看板商品の1つとも言える「プレミアムロールケーキ」は、10年にコンビニエンスストアのオリジナルチルドデザートとして初めて「モンドセレクション」製菓部門で金賞を受賞。累計販売数は3億7000万個を超えるヒット商品となり、“コンビニスイーツブーム”をけん引してきた。

    看板商品の1つとも言える「プレミアムロールケーキ」。コンビニエンスストアの本格チルドデザートの先駆けとも言える商品だ
    看板商品の1つとも言える「プレミアムロールケーキ」。コンビニエンスストアの本格チルドデザートの先駆けとも言える商品だ

     17年6月からは、世界的に有名なチョコレートブランド「GODIVA」との共同開発商品をシリーズで展開するほか、18年9月には“第4のチョコレート”と注目を集める「ルビーチョコレート」を使用した商品シリーズも発売するなど、話題の商品を続々と投入している。デイリー部シニアマネジャーの坂本眞規子氏は「スイーツ市場(※)全体でみるとコンビニエンスストアでの売上高の割合はまだ全体の2割ほど。これをさらに高めていきたい」と意気込みを述べている。※富士経済「スイーツ市場のメニュー×チャネル別需要分析調査2018」。注目4チャネル(量販店、コンビニエンスストア、チェーン洋菓子店、個人洋菓子店)を合計した市場

    売れ行きは「プレミアムロールケーキ」超え

     そして20年2月期の大型新作スイーツとして発売したのが「バスチー」(215円:以下、税込)だ。スペインとフランスの両国にまたがる「バスク地方」で古くから親しまれている、バスク風チーズケーキを商品化したものである。

     同商品は、発売からわずか3日間で販売数100万個を達成。「プレミアムロールケーキ」(150円)は5日間での達成だったことからも、「バスチー」の人気の高さが窺える。

     また、長年ローソンのスイーツ商品の販売数1位はシュークリームの「大きなツインシュー」(113円)だったが「バスチー」は発売後7週連続でこれを上回った。「大きなツインシュー」は男性のリピート購入が多いのに対し、「バスチー」は30~40代女性の購入が中心で、若い世代の女性客の獲得につながっている。19年8月4日現在で「バスチー」の累計販売数は約1900万個を突破している。

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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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