イケア、急成長するフード事業の秘密!社内で「もっともソファが売れる場所」と呼ばれるワケ

兵藤雄之
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重視するのは客数ではなく満足度

カントリーフードマネジャー
カントリーフードマネジャーの佐川季由氏

 プラントベースの購入比率が高いというのも日本のフード事業の特徴だ。

 「日本ではヴィーガンは2%程度、ベジタリアンは10%にも満たない。それにもかかわらずイケア店舗のある32カ国中でいちばん高い数字になっている」(同)

 イケアフードを目的に来店する人の割合が高い日本の店舗は、いきおい食を通じた従業員との接点が多くなる。佐川氏は「その場を通して、お客さまに、プラントベースを重視する理由やそこに対する思いが伝わっているからではないか」と言う。

 「ヴィーガンやベジタリアンになる必要はない。フレキシタリアン(週に何度かは、肉や魚の代わりにプラントベースを食べる)でも、クライマタリアン(二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス排出量に意識した新しい食生活を心がける)でもいい。そうすることで、地球や自然にやさしく、自身の健康にもつながる、ということを、お客さまに知ってもらいたい」(同)

 イケア・ジャパンでは、2025年までに、プラントボールとミートボールの注文の割合を5050にするという目標を立てている。

 今回のコロナ禍を経験し、イケアグループ内では、いくつかの変化が生まれた。ひとつは、とくに家具の販売について、オムニチャネル化が進んだこと。それに付随して、これまで顧客からの支持を測るものとして「来店客数」を見ていたが、それを「どれくらいの顧客が、(リアルか、ネットかを問わず)イケアでの体験に対して満足してくれたか」を重視するようになった。

 今後、流通小売業の世界ではオムニチャネル化はどんどん進んで行く。そのなかでますます大事になってくるのは、「カスタマーミーティングポイント」(=実店舗の活用)であり、リアルの接点を通じて、いかに顧客を満足させ、再来店を促すことができるかだ。「フード事業を通してどれだけ貢献できるか。当面、そこに集中していきたい」(同)

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