実務を知らなくても価値はある!?いまアパレル企業改革にコンサルタントが必要になった理由
たとえ業務を知らないコンサルでさえ、有用な理由とは
さて、私は業務を知らない「コンサル」などに、何ができるのかと述べてきたが、私が間違っていたことを告白したい。ポイントは「論理思考」と「批判思考」である。私たち外資コンサルファームで鍛えられた人間は、「論理力」と「批判力」が段違いに高次元にある。
論理思考は、すべての考え方の根底にあるもので、世界のどこでも通用する共通語だ。論理思考がなければ、会議はおなじことを幾度も繰り返し、論点は絞られず、「足し算」で課題が20も30もでてまとまりがつかないか、「この問題解決には時間がかかるから次回にしよう」と、課題解決を先送りにする。こんなことは、コンサルティングファームの会議ではあり得ない。
例えば、日本に2万社もあって18億枚も余剰在庫を量産している実態を分析すれば、MDにおける衣料品費率を下げ、別領域に出るか、市場を国内偏重から海外に移すかの二択しかなく、次は、それぞれを実施するための調査や分析を行うなど、必ず合理的にものごとを進めて行く。また、需要が供給量を上回っている時は「商品供給を中心としたビジネス」に、逆に供給量が需要を上回っているときは「顧客囲い込みを中心としたビジネス」に、事業を組み立てるなども経営学の基本だ。論理的に考えればすぐ分かる。しかし、多くのアパレル企業は、「我々は日本で戦う」「シーインはすごいね」と聞き流し、KPIは、未だに商品消化率、商品粗利、商品回転率など、「商品」を軸にし、「顧客」ベースのKPIは「あれば、通販のものだ」と今でも思っている。
批判思考とは、英語で「クリティカルシンキング」と言われ、ものごとを根本的に捉えるための最も重要な思考だ。常識に対し、「本当にそうなのか」「なぜそうなのか」と徹底的にチャレンジするものだ。
しかし、クリティカルシンキングで話をすると、「前にいったことと違う」「アパレルというものを分かっていない」と反論し、仕事の仕方もバブル時代のまま変えようとしない。ひどい例になると、会議で上司がペラペラしゃべるだけで若者は自分の意見を一言もしゃべらず、居酒屋で会社や上司の悪口を言うわけだ。
コンサル会社では「無言はノーバリュー」といって、その会議で意味のある発言ができないなら、どんなに若者でも、そもそも会議に出るなと追い出されるほど厳しい。そうした中から、「極論だ」「業務を知らない」とコンサル批判を言われるが、例えば、私に限らず、コンサルの「極論」の中には、実際に、その通りになったことが多い。そうなると今度は、「後出しじゃんけんだ」と批判し、自分たちの「常識」を守ろうとし、妬みなのか恨みなのか、匿名批判を投稿する。
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