アナリストが分析する、コンビニ3社の収益力明暗の理由と成長戦略の是非
コンビニエンスストア(CVS)大手3社が発表した2022年2月期決算業績はコロナ禍での落ち込みをカバーするに至っていない。そうしたなか各社は新たな成長策に動きだし、その方向性には違いが生じている。大手3社の現状とそれぞれの成長施策について、大和証券チーフアナリストの津田和徳氏の見解を聞いた。
ファミマの施策が好調、3社の営業利益に格差
コロナ禍2年目となった2021年のCVS大手3社の決算は、人流抑制による巣ごもり生活が長引いたことを受けて、全体的に“守り”に入ったという内容だった。

そのなかで唯一、単体ベースで増収増益を達成し、既存店客数・単価ともに伸長させたのがファミリーマートだ。40周年販促企画の効果に加え、「クリスピーチキン」などヒット商品の開発、半年をかけて行った新プライベートブランド「ファミマル」への入れ替えもうまくいっている。21年2月期に不採算に陥った都心の物件をいち早く減損処理し、攻めに転じた成果が出ているといえる。
業界首位のセブン-イレブンは、前期は食品スーパー(SM)に近い品揃えと十分な在庫確保により、コロナ禍での影響が最も軽かったが、22年2月期は次の変化対応が遅れてしまった印象だ。22年1月から大々的なフェアを連続して展開し、テコ入れを始めたが、既存店の客数は戻り切っていない。
「店舗理想形追求プロジェクト」により日販改善に注力しているローソンは、店舗改装のスケジュールが当初計画よりずれ込んだ。第4四半期に投資が先行し、22年2月期の利益にはつながっていない。
22年2月期の営業利益については、セブン-イレブンが2230億円稼いでいるのに対し、ファミリーマートは570億円(単体、事業利益)、ローソンは258億円(単体)と、収益力には大きな差が生まれている。
食品配送はセブンのスキームに拡大見込み
これまでCVS各社は揃って店舗数の拡大によって成長を遂げてきた。しかし、
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