ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス ベールを脱ぐ

2015/04/07 00:00
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 3月2日にマルエツ(東京都/上田真社長)、カスミ(茨城県/藤田元宏社長)、マックスバリュ関東(東京都/後藤清忠社長)が経営統合して発足したユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/上田真社長:以下、U.S.M.H)がベールを脱いだ。

 

 2015年2月期は事業会社3社の売上高を単純合算すると6289億3600万円。首都圏の1都6県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県)に479店舗(マルエツ276、カスミ159、マックスバリュ関東44)を展開する売上高日本一の食品スーパー企業となった。

 

 2016年2月期の連結業績予想は、営業収益6600億円、営業利益120億円、経常利益122億円、当期純利益50億円をめざす。

 その際の総資産は2560億円、自己資本比率52.4%、ROE(自己資本経常利益率)3.7%、ROA(総資産経常利益率)2.0%を想定している。

 

 2016年2月期における事業会社別業績(連結)内訳は、

 

【マルエツ】

 ・営業収益3570億円

 ・営業利益50~56億円

 ・経常利益48~54億円

 ・当期純利益19~24億円

 

【カスミ】

 ・営業収益2535億円

 ・営業利益74~80億円

 ・経常利益76~82億円

 ・当期純利益43~48億円

 

【マックスバリュ関東】

 ・営業収益490億円

 ・営業利益3~3億3000万円

 ・経常利益3~3億3000万円

 ・当期純利益1億5000万円~1億8000万円

 

 となる。

 

 U.S.M.Hが打ち出した中期経営方針は、「統合シナジーによる新たな価値創造」。《健康(Health)》(商品、鮮度、機能性、食提案)、《地域社会(Community)》(地域店舗、生活者、従業員、企業)、《価値(Value)》(サービス、利便性、経済性、味・品質)の3つの視点から、統合シナジーによる新たな価値を具体的に形にして消費者に提供する。

 

 その実現に向け、以下の4つの切り口に基づき、具体策を実施する。

 

 (1) 新たな商品価値の創造

 商品を通じた価値(鮮度・機能性、経済性・味・品質・食提案)を創造し、お客の豊かで健康的な食生活の実現をめざす

 ・商品開発/産地開発・共同調達/共同販促・センター開発

 

 具体策としては…

 ① NB(ナショナルブランド)商品・海外商品の共同調達(原価低減)

 ② 首都圏の消費者ニーズに合わせた食品スーパー仕様の商品開発

 ③ 効果と効率を最大化する生鮮加工センターの設立

 ④ 出店戦略を見据えた共同複合センターの設立

 ⑤ 既存センターの共同利用による納品体制の最適化

 ⑥ 顧客満足を高める定期的な共同販促

 などを挙げている。

 

 (2) 新たなサービスの創造

 地域社会の生活者としてのお客のライフスタイルに合ったサービス・利便性の提供をめざす

 ・決済機能、利便性の向上・オムニチャネルの推進・マーケティング機能共有

 

 具体策としては、

 ① マーケティング分析情報の共有化

 ② 効果を最大化する決済機能の導入(カード・電子マネーなど)

 ③ インバウンド需要の取り込み

 ④ 首都圏の店舗網を活用したオムニチャネルの推進

 ⑤ 地域に根差した新たなサービスの提供

 ⑥ 環境社会への貢献に向けた事業の推進

 などを挙げている。

 

 (3) 次世代を担う人財の育成

 常に革新と挑戦(価値創造)を続け、自らの成長を実感し、地域社会に貢献できる人財を育成することをめざす

 ・技術教育、研修の共有化・人財交流、ノウハウ共有

 

 具体策としては…

 ① 食品スーパーに必要な教育体制の構築

 ② 経営幹部育成のための能力開発

 ③ 人財交流

 などを挙げている。

 

 (4) 経営効率の改善

 経営効率の改善により永続的に発展・成長し地域社会に寄り添う企業であり続けることをめざす

 ・資材・備品・機器の共同調達・本部機能集約・重複機能の排除・業務見直し

 

 具体策としては…

 ① 情報共有化及び資材などの共同調達によるコスト抑制

 ② 各種契約内容の精査と集約

 ③ 既存センターの共同利用と情報共有による効率化

 ④ 店舗運営におけるトータルオペレーションコストの最適化

 ⑤ 間接部門の機能集約(経営の質的向上)

 などを挙げている。

 

 U.S.M.Hは、組織的にシナジーを最大化するために、社内に「グループシナジー効果実現委員会」を設置する。

 委員会内には、商品プロジェクト(PT)、人材育成PT、営業企画PT、事業創造PT、資材調達PT、システムPT、物流PT、本部機能集約PT、店舗開発PTがあり、委員長には上田社長、副委員長には藤田副社長が就く。

 この委員会を含め、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の各事業会社と株主であるイオン(千葉県/岡田元也社長)、丸紅(東京都/國分文也社長)が加わる形でU.S.M.Hと事業会社が戦略課題を認識・共有・議論する体制を確立する。

 

 こうした政策を実施する中で、2018年2月期の目標数値は、

 

 ●営業収益 7200億円

 ●営業利益 160億円

 ●ROE 6.0%

 ●店舗数550

 ●投資額 3年間で約680億円(内新店投資320億円)

 をめざす。

 

『ダイヤモンド・チェーンストア』誌2015年5月1日号の「THE INTERVIEW」には上田真社長が登場します。ぜひ、ご一読ください。
 

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