アフリカ市場に出る前に問いたい

2010/03/10 06:12
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 本日から3日間、取材のため中国に出張します。10日~12日までのブログをまとめて更新しました。毎日午前0時を過ぎると開けるようになっております。ぜひ、お読みください。

 以下は、3月10日分のブログです。

 

 「大手電機メーカーが相次いでアフリカ市場を開発する」と昨日の日本経済新聞が第1面で報道していた。

 

 アフリカ大陸は、9億2500万人の人口を抱え、人口増加率は世界一。2025年には世界の17%、2050年には20%を占めるようになると推定されている有望マーケットだ。石油やレアメタルなどを産出する資源国を中心に所得水準は向上しており、そんなアフリカ大陸に次期成長の基盤を築こうという思惑が大手電機メーカーにはあるのだろう。

 

 これまで日本企業は、先進国との交流・交易にばかり力を入れ、失われた10年の間に対外投資に消極的だったことも災いして、新興国と言われるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)市場の攻略に出遅れた。BRICsマーケットでは、その間に力を付けてきた「サムスン」「LG」(韓国)、「アップル」(アメリカ)、「ノキア」(フィンランド)、「ZARA」(スペイン)、「H&M」(スウェーデン)などの後塵を拝し続けている。

 

 続く新興国のVISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)市場でも先行しているとは言い難く、今回の唐突ともいうべきアフリカ市場開発表明は、日本企業の焦りの表れと見てとれる。

 

 しかし、焦燥感を引き金に経済的メリットのみを享受するがための進出であるならばうまくいくはずはない。

 それというのもアフリカ大陸には、問題が山積。独裁政権、地域紛争、砂漠化などの環境問題、エイズ禍、貧困・飢餓問題などカントリーリスクは大きく、次世代の新興国として簡単に“離陸”できる状況にはないからだ。

 

 日本企業の参入は、こうしたアフリカの問題を自らの問題として抱えることを意味する。解決するために多額の経済援助を拠出することが不可欠ともいえ、日本企業に、その覚悟があるかどうかが問われている。

 ただ、競争を優位に運ぶため、企業規模を拡大するため、私腹を肥やすためだけのアフリカ進出であるならば、アフリカ大陸の住人にとっては迷惑千万な話だろう。

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