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年末年始休業期間のお知らせ

焦点:コロナ禍に苦しむ国内航空業界、夏が行き先占う分岐点

ロイター
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羽田空港の様子
4月3日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えている。写真は羽田空港で2013年8月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 3日 ロイター] – 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えている。ANAホールディングスや日本航空(JAL)は大幅減便・運休などで対応しているが、感染の終息は見通せず、金融市場でも信用力への懸念が出ている。業績の先行きを占う上で、本来なら繁忙期であるはずの夏をどう迎えるかが鍵になりそうだ。

GWの予約も状況変わらず

「数時間立っていても、乗客2人に対応する程度」――。成田空港国際線カウンターで働くスタッフは、ここ1カ月余りの空港の様子をこう語る。例年、忙しい時間帯には約30組が並び、トイレに行く暇もないが、今は人の気配がない。

感染拡大を防ぐため、各国は渡航規制を強化。日本政府も世界の約3分の1強となる計73カ国・地域を渡航中止勧告の対象とし、国民に外出自粛も要請している。

4月の予約数はANA、JALともに国際線が約8割減、国内線は約6割減となり、運航数も国際線で9割近く、国内線で2割に相当する減便に追い込まれている。両社はゴールデンウィーク(GW)期間中の減便・運休を近く発表するが、関係者は「GW中の予約も4月とほぼ同じ状況で、同規模の減便・運休が続くだろう」と話す。

国内航空19社が加盟する定期航空協会によると、コロナの影響による2―5月までの業界全体の減収は約5000億円で、2008年のリーマン・ショック時の約3000億円をすでに上回る。事業環境は悪化しており、この状態が1年間続けば2兆円は下らないことになる。協会は国に政府保証付き融資、着陸料や空港使用料、燃料税などの減免、雇用調整助成金の引き上げなどを求めている。

国土交通省は、国管理空港などで2月分から半年間の使用料徴収を猶予する。

金融市場の警戒感

金融市場の懸念も高まっている。企業の信用力を予想して売買するクレジット・デフォルト・スワップ取引では、ANAの倒産に備えた保証料率(5年物、IHSマークイット)が2月後半から急上昇、一時約1.6%を付けた。感染が中国から欧州へ広がり「世界的な拡大は時間の問題」とみられ始めたタイミングだと野村証券のクレジットアナリスト、荻野和馬氏は話す。

市場全体のリスク回避的な動きや投機的な動きもあり要因の切り分けは難しいが、約1.6%の保証料率は計算上、「5年以内に破綻する可能性が10%程度織り込まれている」(荻野氏)水準を意味する。

JALとANAでは売上高の約9割が費用で、うち約半分が人件費や航空機リース代などの固定費が占める。減便・運休で燃料代などの変動費は抑えられるが、それでも固定費はかかる。

ANAの平常時の国際・国内線収入は月平均で約1000億円。これまでの減便規模からすると1カ月分はすでに「蒸発」し、手元の流動性資金は3000億円程度に減っているもようだ。何も手当てせずこのまま同規模の減収が続けば、フリーキャッシュフローの赤字継続は不可避だ。

手元資金を確保するため、ANAは例年6月に実施する500億円前後の借り換えを4月に前倒しし、複数の民間銀行から計約1000億円、日本政策投資銀行からも約3000億円を調達する方向で協議している。コロナの影響が1年程度続く場合に備え、複数の民間銀行に計約3000億円、政投銀に約1兆円の融資枠も求めている。[nL4N2BR3FZ]

麻生太郎財務相は3日の会見で、航空産業は地域経済や訪日需要を支える「日本経済の屋台骨だ」と語り、民間金融や政府系金融機関で危機対応融資を活用して航空各社の資金繰りに万全を期す方針を示した。

ANA、JALそれぞれの昨年12月末時点での現預金は1268億円、2964億円、有価証券は2632億円、300億円。純有利子負債残高はANAが4581億円、JALが1562億円だが、関係者は「ここ数カ月で状況は様変わりしている」と話す。

分岐点は今夏

野村証券の荻野氏は「まずは書き入れ時の夏までに部分的にでも運航を再開し、その先の需要が戻る見通しを立てられるかどうか」が、業績の先行きを占う上での分岐点になるとみている。

各社は手元のキャッシュ確保が喫緊の課題だが、コロナ終息後の需要拡大に備え、雇用は維持する。ANAは新人客室乗務員658人の入社時期を約1カ月先送りするほか、現役の客室乗務員約6400人を対象に毎月1人当たり3―5日程度、4月から一時帰休させる。旅客機「A380」の3号機納入も当初の4月から約半年延ばし、メンテナンス費用などを抑える。役員報酬や管理職賃金も減額する。JALも4―6月まで役員報酬10%を自主返上する。

19年4―12月期の当期利益ベースでの進捗率はANAが92%、JALが82%と順調だったが、通期業績の下振れは避けられそうにない。通期予想は、ANAが15%減の940億円(リフィニティブ集計の予測平均値790億円)、JALは同38%減の930億円(同879億円)。

コロナ禍の終息時期が見通せない中、両社とも21年3月期予想を公表できない可能性もある。市場予想はANAが796億円、JALが711億円で、さらなる減益が想定されている。

羽田空港の発着枠拡大に伴い、今年は国際線で多くの新規開設・増便も計画していたが、就航延期や運休・減便が相次ぎ、出鼻をくじかれたANAとJAL。コロナ終息までなんとか持ちこたえようとしている。

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