再配達削減へ広がる「置き配」=宅配便主要3社が足並み
宅配便の再配達削減に向け、荷物を手渡しせずに玄関先などに置く「置き配」サービスが拡大する。ドライバーの残業規制強化に伴う物流停滞が懸念される「2024年問題」に対応するため、宅配便を扱う主要3社が「置き配」サービスの本格展開で足並みをそろえた。
佐川急便は10日、主力の「飛脚宅配便」と「飛脚ラージサイズ宅配便」「飛脚航空便」での導入を発表した。9月2日から本格的に開始する。個人向け会員サービス「スマートクラブ」の会員を対象に、玄関先や宅配ボックス、車庫などでの「置き配」の選択を可能にする。
ヤマト運輸は6月、主力商品の「宅急便」と「宅急便コンパクト」で、個人会員向けに「置き配」サービスを開始した。日本郵便も2019年3月から、事前に配達の連絡を受け取った人が「置き配」を選択できるサービスを提供している。
国土交通省によると、ネット通販の拡大を追い風に、宅配便の取り扱い個数は増加傾向が続き、22年度は約50億個に達した。共働き家庭の増加といった生活スタイルが変化する中、宅配便の再配達率が1割に上り、配達する側にとっては負担が増していた。
残業規制強化によるドライバー不足は、今後さらに深刻になるとみられる。「効率的に配達できる仕組みを整えておく必要がある」(物流関係者)として、各社は対応を急いでいる。