ウォルマートも本格活用! 物流を変革し得る「ジオスぺーシャルテクノロジー」とは何か

文:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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ジオスペーシャルテクノロジー
GEOSPATIAL TECHNOLOGY

 ジオスペーシャルテクノロジーとは、GPS(全地球測位システム)やGIS(地理情報システム)、リモートセンシングなど、地球上の位置情報を収集・保存・分析する技術の総称である。

 都市計画や防災、環境保護、農業、物流など、幅広い分野で活用され、その市場規模は世界全体で2 0 2 3 年時点の5723億ドル(80兆1220億円:1ドル=140円で換算)から年平均15.1%増のペースで成長し、予測では30年までに1兆5316億ドル(216兆4240億円)に達するとみられている。

配送エリアマッピング
ジオスペーシャルテクノロジーによる配送エリアのマッピング

 物流領域では、米小売最大手のウォルマート(Walmart)が最新のジオスペーシャルテクノロジーを活用した配送のイノベーションに取り組み、業界内外から注目を集めている。

 ウォルマートは長年にわたり、郵便番号のような大まかな区分に基づいて顧客をグループ化する手法を採ってきたが、一貫性に乏しく、顧客行動を十分に反映できないのが課題だった。そこで、配送エリアをより正確にマッピングし、配送を効率化するための画期的な技術として、ジオスペーシャルテクノロジーが採用された。

 具体的には、大きなエリアを六角形の格子状に整理するオープンソースのソフトウエアをベースに独自プラットフォームを構築し、社内外のデータと統合する。より小さく精緻に分割された六角形のタイルにはそれぞれ、配送枠の空き状況、運転時間、店舗のキャパシティ、顧客の需要など、リアルタイムのデータが埋め込まれている。

 正方形や円形の区分けは非効率で、端のエリアが取り残される恐れがあるのに対し、六角形は隙間なくエリア全体をカバーできるのが利点だ。また、従来の硬直的なマッピングからデータドリブンなモデルへ移行することで詳細なインサイトを得られるため、配送ゾーンをより正確に調整でき、より多くの顧客に商品を届けることが可能になる。

 また、ジオスペーシャルテクノロジーによって配送ゾーンが精緻化され、

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松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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