2月の米雇用、27万5000人増=失業率3.9%に悪化
【ワシントン時事】米労働省が8日発表した2月の雇用統計(季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比27万5000人増だった。伸びは1月の22万9000人増(改定)から拡大し、市場予想(20万人増)も上回った。
ただ、1月の就業者数は、当初の発表から12万4000人の大幅下方修正となった。失業率は3.9%と、前月から0.2ポイント悪化。米雇用情勢は底堅さを保つものの、勢いがやや失われていることもうかがわせた。
インフレに影響する平均時給は前年同月比4.3%上昇と、伸びは前月(4.4%)から若干減速した。
業種別の就業者数は、医療関連が引き続き堅調で、前月比6万7000人増。一方、製造業は4000人減となった。
米国のインフレ率は2022年半ばのピークから大きく低下。今年1月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.4%上昇と、連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%に近づいた。賃金押し上げを招く人手不足は、移民の流入増などを背景に幾分和らいでいる。
インフレ鈍化を踏まえ、FRBは年内の利下げ開始を視野に入れる。今月19、20日の金融政策会合では、経済成長とインフレ抑制を両立させる景気の「ソフトランディング(軟着陸)」に向け、慎重に利下げ時期を探るとみられる。
◇米雇用統計概要
1月 2月
失業率 3.7% 3.9%
非農業部門就業者数 22.9万人 27.5万人
民間部門 17.7万人 22.3万人
物品生産部門 2.4万人 1.9万人
サービス部門 15.3万人 20.4万人
政府部門 5.2万人 5.2万人
労働時間(週平均) 34.2時間 34.3時間
平均時給 34.52ドル 34.57ドル
平均時給伸び 4.4% 4.3%
労働参加率 62.5% 62.5%
U6失業率 7.2% 7.3%
長期失業者(半年以上) 127.7万人 120.3万人
経済的理由でのパート勤務 442.2万人 437.6万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。 (了)