多発する自然災害に備えるためには?ストック食材のトレンドをクックパッドから探る
自然災害の多発や新型コロナウイルスの感染対策のため、食材をストックすることへの意識が高まっている。今回はそのストック食材のトレンドをレシピ数359万品、月間約5800万人が利用する料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」(https://cookpad.com)の検索ワードから探った。
曇りの缶詰カテゴリー
コロナ特需の「フルーツ缶」、好調なのは「焼き鳥缶」
保存期間が長いストック食材といえば「缶詰」「乾物」が思い浮かぶ。これらの食材は近年の多発している自然災害や、感染対策としてまとめ買いをする影響で検索頻度が増加していると思われたが、実はそうではなかった。コロナ禍の食卓では「ランチ系」「お菓子づくり系」「ダイエット系」メニューが強く求められ、ストック食材を使った「ツナサラダ」「切り干し大根」などの副菜系ワードのSI値は減少傾向となった。
缶詰系キーワードを詳しく見ていく。缶詰の中でもSI値の大きい「ツナ缶」「サバ缶」「トマト缶」は20年以降緩やかな減少傾向となっている。一方「みかん缶」「もも缶」「パイナップル缶」などのフルーツ系缶詰のS I値は、1度目の緊急事態宣言下の20年春から夏にかけて一時的に山場があり、買いだめによる特需があったと思われる。フルーツ系缶詰の組み合わせ検索ワードには「ゼリー・ケーキ・ホットケーキミックス」があり、おうち時間でのお菓子づくりと親和性が高い。
一時的なブームではなく、20年春から伸長が続いているのは「焼き鳥缶」だ。組み合わせ検索ワードの上位には「炊き込みごはん・親子丼・卵」がある。家飲みの際のおつまみとしてそのまま食べるだけではなく、少ない材料で主食にアレンジができること、味つけがしっかりしているので調味が簡単なことが一時的なブームで終わらなかった理由だと考えられる。組み合わせワードでは「ピザ・パスタ・チーズ・トースト」などもあり洋風アレンジも増えていきそうだ。
このような缶詰の活用は外出控えによる買いだめや、日々の料理をおいしく簡単にするだけではなく「ローリングストック」の視点でも役に立ちそうだ。これは防災関連のワードで、日常生活で備蓄食材(ストック食材)を利用し常に新しいものに入れ替えることで、いざという時の賞味期限切れを防いだり、災害時も日常に近い食生活を送れるようにするための取り組みのことだ。缶詰のストックとアレンジ調理がより日常に根付けば防災の備えになる。