ソフトバンクG、4―12月の純利益は3兆円 日本企業で過去最大

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ソフトバンクG孫正義会長兼社長
ソフトバンクグループは8日、2020年4─12月期の連結純利益(国際会計基準)が前年同期の約6.4倍となる3兆0551億円だったと発表した。写真は同社の孫正義会長兼社長、資料写真、2018年11月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 8日 ロイター] – ソフトバンクグループ(SBG)は8日、2020年4─12月期の連結純利益(国際会計基準)が前年同期の約6.4倍となる3兆0551億円だったと発表した。投資先の株価や公正価値の上昇により、ファンド事業で投資利益が拡大した。日本企業では4―12月期として過去最大となる。

SBGの孫正義会長兼社長は決算会見で、3兆円規模の純利益について「それなりの数字だが、喜ぶものでもないし悲しむものでもない。事業家として、この程度で満足するつもりはさらさらない」と述べた。

孫氏が経営指標として重視する株主価値(NAV)は、20年9月末では27.3兆円だった。12月末には22.9兆円となったが、足元では25兆数千億円に戻しているという。孫氏は株主価値が数兆円変動するのはSBGにとってニューノーマル(新状態)との見方を以前から示しており「一喜一憂してもしょうがない」と述べた。

投資利益は全体で3兆7995億円だった。このうちファンド事業は2兆7288億円となり、孫氏は「やっと収穫期に入り始めた」とし、投資先企業は「1年間に10―20社が上場しておかしくない」との見方を示した。ビジョンファンドの投資損益は「1―3月期も3兆数千億円の数字で順調に推移している」という。

ビジョンファンドでは、料理宅配サービス最大手ドアダッシュや米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズなどの株価が堅調で未実現評価益1兆5415億円を計上したほか、未上場投資先の公正価値上昇で5306億円の評価益を計上した。投資の売却による実現益は2093億円だった。ビジョンファンド2ではKEホールディングスなどの上場後の株価上昇で未実現評価益5427億円を計上した。

持株会社投資事業からの投資利益は8465億円だった。上場株式などへの投資による損失3014億円を計上した一方、スプリントとTモバイルUSの合併とTモバイル株の一部売却による利益や未実現評価益などがあった。

このほか、通信子会社のソフトバンクのセグメント利益は7462億円、アーム事業は同454億円の赤字だった。アームは昨年9月、米半導体大手エヌビディアに全株を売却することで合意。孫氏は、独占禁止法などの観点から各国規制当局の承認は得られると信じていると改めて表明し「プランB(次善策)は考えていない」とした。

太陽光発電事業は、全部売却か一部を残し継続支援するかで交渉中だと明らかにした。東日本大震災が発生した当時に社会貢献の一環で始めたが、いまでは多くの企業が手掛けるようになったほか、SBGとしてはAI関連の投資に集中したいためだと説明した。

4.5兆円超の資産売却・資金化で得た資金による自社株買いは1月末までに1.3兆円を取得。負債削減は昨年9月末までに国内無担保社債1676億円を買い入れ、シニアローン3000億円の期限前返済を実施した。

純負債/保有株式の比率(LTV、ローン・トゥー・バリュー)は15%で「健全な範囲を十分に保っている」と説明。同社は通常時にLTVを25%未満、異常時でも35%を上回らないように運用する方針を示している。

昨年10月から今年1月まで、公の場に姿を現さなかった中国アリババ・グループの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏とは「ビジネスの生々しい話ではなく、個人的なやり取りをしている」と語った。マー氏が趣味とする絵画を披露されることがあるという。

マー氏が公の場から姿を消したのは中国の規制システムを批判した直後で、アリババと規制当局の溝は深まり、アリババ傘下の金融会社アント・グループの大型新規株式公開(IPO)が差し止められる事態に発展した経緯があった。

同社は未確定な要素が多いとして、通期見通しを公表していない。IBESがまとめたアナリスト8人のコンセンサス予想では、21年3月期通期の連結純利益予想の平均値は1兆6063億円。

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