多角化とドラッグストア内出店に活路見出す千葉のローカルスーパーの戦略
関東圏に食品スーパー(SM)「おっ母さん食品館」などを15店展開する三和(千葉県/石原健代表)は、鮮魚と青果の専門店や、東南アジアでの飲食店なども運営するほか、グループ会社には鮮魚の仲卸や鮮魚専門店、水産物加工事業会社も抱えるローカルスーパーだ。近年はドラッグストア(DgS)内にテナント出店し、競争力の高い食品売場を構築している。積極的かつ柔軟に新たな試みに挑戦する同社の成長戦略を取材した。
故郷の佐渡島で培ったチャレンジ精神
三和グループの始まりは1978年にさかのぼる。先代が千葉県柏市の公設市場開設に伴い、鮮魚仲卸業の石原水産を立ち上げたのが始まりだ。その後、近隣のSMに魚を供給した縁がきっかけでSM事業に進出する。消費が活発だった時代背景もあり、SM事業は軌道に乗り、店舗数は拡大。また同時期から、同市場内の鮮魚店と組んで魚を供給する鮮魚専門店「海宝丸」も展開していった。「海宝丸」は近年、ロピア(神奈川県)やマミーマート(埼玉県)、クスリのアオキ(石川県)などの有力チェーン内にも出店している。
2005年頃には、人との縁もあり、居酒屋を出店し飲食事業にも参入する。10年頃には海外進出も果たし、インドネシアのジャカルタ現地企業との合弁会社を設立。現地の富裕層や駐在日本人をターゲットに和食を提供するレストラン「海宝丸」を展開し、支持を得た。その後、マレーシア、カンボジア、中国などにも進出している(コロナ禍の影響を受け、国内飲食店事業と中国からは現在撤退)。
さらに05年頃からは、学校や病院、介護施設向けに給食事業も展開。骨取り加工など、鮮魚に強みを持つ同社だからこその取引先の要望に対応できる供給体制を整えている。
現在三和グループは、SM事業と鮮魚、青果専門店、海外飲食店を展開する中核企業の三和、鮮魚専門店専業の新潟海宝丸、鮮魚仲卸の石原水産、水産物加工や食品販売、給食事業を展開する匠水産の計4社からなる。23年度のグループ国内売上高は183億円だった。
SMは関東を中心に計15店、鮮魚専門店は関東、甲信、上越、北陸、東海で計37店、青果専門店は埼玉県で計2店、海外飲食店は計6店を展開している。
このように三和グループが事業の多角化に成功した背景には、
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