新中期計画は株主の期待に応えているか?好決算発表後、しまむら株価が下落した理由

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早いもので2024年も第2四半期に入りました。まず2月期本決算の決算発表が控えています。個人的な関心はセブン&アイ・ホールディングスとイオンにあります。いずれも、事業の選択と集中を進めており、今後は強化分野の進捗が問われる局面だと思います。前者においては北米コンビニエンスストア(コンビニ)事業の体質強化、国内コンビニ事業の省人化、イトーヨーカ堂改革とECへの取り組みが気になりますし、後者においてはネットスーパーを含めた大都市圏の戦略強化と海外のモール・金融事業の行方に興味を持っています。
すでに決算を発表した企業もあり、そのなかで特に目に留まったのは好決算だったしまむらです。そうしたわけで今回はしまむらについて解説していきたいと思います。

しまむらの看板

好決算のしまむら、25年2月期決算見通しも堅調

 しまむらが24月1日に発表した2024年2月期通期決算は、売上高6,350億円(対前年度比+3%増)、経常利益567億円(同+4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益400億円(同+5%増)となり、会社予想を上回り、連続最高益を更新しました。

 ROE(自己資本利益率)は8.8%で前年度比ほぼ横ばいです。欲を言えば在庫回転率のさらなる改善を求めたいところですが、商品戦略、価格戦略、在庫管理がトータルにうまくいっていると見受けられます。

 また2025年2月期の通期業績会社予想は売上高6,596億円(対前年度比+4%増)、経常利益576億円(同+2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益401億円(同微増)と発表しました。増収と粗利率の向上を想定しているものの人件費の上昇により営業利益以下の伸びが小さくなっています。

 しかしながら、最高益水準を維持していくというメッセージであり現実的な会社予想だと思います。利益成長が控えめになるなか、一株配当の増配を予定しており株主への目配りも感じられる手堅い印象の決算でした。

決算発表後、株価はネガティブに反応

 しかし、しまむらの株価の反応はネガティブでした。決算発表直前に8,600円だった株価は決算発表後の二日間で7,741円まで▲10%下落しました。

 この株価のクールな反応の背景にある要因は主に3点あると筆者は推察します。

 第一は、株価が高かったこと。昨年末から決算発表までに+9%上昇しており2005年の高値や1999年の最高値をうかがう展開で期待が高かったこと。

 第二は、2025年2月期会社予想がコンセンサスを下回ったこと、特に上半期の予想が+3%増収ながら▲4%経常減益となり、当面の業績の足踏みを意識したこと。

 第三は、新たにはじまる新中期経営計画2027が投資家目線で不十分な点が残ったこと。

 筆者は特に、第三の新中期経営計画2027、が気になっています。どういうことか説明していきます。

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記事執筆者

都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。

米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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