企業規模拡大は、それだけで意味がある?!
4月18日のBLOGで、「消費者視点に立った規模拡大や寡占化とは何であるか、を企業経営者は今一度自問してみたい」と書いた。
企業規模拡大は、それだけでは無意味であり、そのスケールを消費者利益として還元することこそ重要だと考えたからである。
その主張に変わりはないが、ひょっとすると、企業規模拡大は、それだけで意味があるとも思えてきた。
岡山県を本拠に躍進するディスカウントストアの大黒天物産(大賀昭司社長)がM&A(合併・買収)を発表した時のことだ(以下は、発表資料より)。
【NEWS】
大黒天物産は、同業の西源(長野県/西村源一郎社長)を買収すると発表した。
西源は長野県内に8店舗を展開。問屋直販・一括仕入れによって安心価格で商品を提供できるノウハウを持っており、Everyday Low Price(EDLP)で商品を提供することを実践してきた。
大黒天物産は、価格・商品戦略が一致していることから、買収による相乗効果が高いと判断し、今回の買収に至った。
大黒天物産は12年5月期で売上高978億円(対前期比9.4%増)、営業利益46億円(同0.3%減)を見込む。
一方の西源の2012年1月期の業績は売上高が113億円(同11.5%減)、営業損益は5200万円の赤字。単純合算すると買収後の売上高は1000億円を上回ることになる。近畿から中四国、九州北部にかけて72店舗を運営する大黒天物産としては、中部地方に新たな拠点を築くことになる。
さて、この【NEWS】を前にして、大賀社長が以前、ツイッターで「人は成長することによって、悩みが小さく見えてくる」。「あなたが人間として大きくなれば、問題は小さく見えてきます」。「人生の達人となれ!!」とつぶやいていたことを思い出した。
西源の買収とこのつぶやきと照らし合わせれば、企業規模が大きくなることは、さまざまな問題を小さくすることにつながると言えなくはない。
実際に、上った階段の数だけ、そこから見える景色は違うものだ。
ということは、上って上って上りまくって、規模を大きくしてから、戦略についてはゆっくりと考えるという方法もあるのではないかと思えてきたのである。
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