2023 秋・冬 機能性表示食品市場トレンド、複数のヘルスクレームを持つ商品が増加傾向

石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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健康・機能性市場トレンド2023秋・冬

健康志向の高まりを受けて性年代を問わずユーザーが拡大している健康・機能系の食品群。今期は「糖質オフ・ゼロ系ビール類」「減塩商品」「機能性表示食品」「たんぱく補給食品」の4つのカテゴリーを取り上げ、トレンドを探る。

機能性表示食品
ヒット商品にも恵まれ特定保健用食品の規模を上回る

健康のイメージ
2015年の制度開始以降、サプリメントやドリンク類で商品が次々と発売され、拡大が続いている機能性表示食品市場(i-stock/west)

 2015年の制度開始以降、サプリメントやドリンク類で商品が次々と発売され、拡大が続いている機能性表示食品市場。近年は話題性の高いヒット商品の登場や、特定保健用食品や一般食品・飲料から機能性表示食品への切り替えで市場が賑わっており、20年には特定保健用食品の市場規模を上回った。

機能性表示食品の国内市場

 特定保健用食品の市場は18年に前年を下回り、その後は縮小が続いている。とくに機能性表示食品制度が開始されてからは特定保健用食品に注力する企業が減り、新商品発売が少ないことに加え、既存商品の機能性表示食品への切り替えも進んでおり、22年の市場は前年比60%減の2860億円が見込まれる。

特定保健用食品の国内市場

 また、明らか食品は21年に一部商品がプロモーション展開によって伸びたことで前年を上回ったが、22年は再び縮小するとみられる。サプリメントは注力する企業が少なく特定保健用食品の商品数が限られており、とくに20年代に入ってからは大型の新商品もみられず市場の縮小が続いている。

ヘルスクレームの組み合わせによる需要の変化を予測

 ヘルスクレームでは、生活習慣病やダイエットに関連する脂肪対策の需要が旺盛であることに加え、現代社会の悩みを反映しストレス緩和や睡眠の質向上、認知機能のサポートなどを訴求した商品が伸びている。

ストレス緩和や睡眠の質向上、認知機能のサポートなどを訴求した商品

 また、スマートフォンの使用などによる眼の疲れに関する機能も注目度が高く、森永乳業では眼のピント調節機能をサポートする機能、眼の疲労感を軽減する機能が報告されているモノグルコシルルチンを機能性関与成分とした紙パック飲料「眼の疲労感軽減」を今秋発売する。

 さらにマルチヘルスクレームによる差別化も注目されている。これにより需要開拓の幅が広がり、22年の市場は前年比24.0%増の5462億円が見込まれる。

 最近の商品を見てみると、日清オイリオグループでは、「体脂肪やウエストサイズを減らす」機能性表示食品として発売している「日清MCTオイル」に「日常活動時の脂肪の燃焼を高める」機能性表示を追加。キリンビバレッジでは、独自素材の「プラズマ乳酸菌」に加え「GABA」も配合した“免疫ケア”と“睡眠の質向上”をサポートするダブルヘルスクレームの機能性表示食品「キリンおいしい免疫ケア睡眠」を発売した。

 また、カゴメではロングセラーの「野菜一日これ一本」ブランドから、“食後中性脂肪が高めの方の中性脂肪の上昇を抑える”“食後の血糖値の上昇を抑える”“血圧が高めの方の血圧を下げる”の3つの機能性を表示した機能性表示食品「野菜一日これ一本トリプルケア」を発売している。

 機能性表示食品は制度の特性上、機能面での差別化が難しい面もあり、競争の激化に伴って複数のヘルスクレームを組み合わせたマルチヘルスクレームの展開が増えている。今後は、ヘルスクレームの組み合わせによってどこまで需要開拓が進むかが焦点になりそうだ。

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