百貨店、存在の証明その4 海外に活路見出すも、安定さ欠く髙島屋の成長戦略

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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髙島屋(大阪府)は大手百貨店の中でおそらく唯一、海外事業を成長戦略に据えている。J.フロントリテイリング(東京都)のように自社店舗をショッピングセンター化するわけでも、三越伊勢丹ホールディングス(東京都)のように国内店舗を活用したオンライン戦略を描くわけでもなく、海外事業によって収益を伸ばしていこうというのだ。しかし、海外事業が収穫の時期を迎えるまでの間、国内ではインバウンド頼みの経営が続く見通しで、不安定さは否めない

M&Aには無関心?独自路線を行く髙島屋

 「次は髙島屋か」

 三越と伊勢丹、大丸と松坂屋、と大手百貨店の経営統合が巻き起こるたびに、各所からそのような声が聞かれた。しかし大方の予想に反し、髙島屋が果敢なM&A(合併・買収)に打って出ることはなく、今では「再編に乗り遅れたことが今となってみればよかったのではないか」とまで言われている。

 そんな髙島屋も一時期は、三越伊勢丹の大阪進出を横目に、阪急阪神百貨店を擁するエイチ・ツー・オーリテイリング(大阪府)と“共闘”するため経営統合を模索したという経緯がある。だが、当時社長だった鈴木弘治氏(現会長)が「規模ばかりが唯一の手段ではない」として撤回、それ以降、髙島屋によるM&Aの噂は聞こえてこない。

 足りない部分を経営統合で相互補完しながら新たな成長戦略を描く、という選択肢を捨てた髙島屋。だが、「融合に時間がかかっている」(業界関係者)という三越伊勢丹のケースを踏まえると、経営統合の“負の部分”を引き摺っていないと見ることもできる。

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