10年たったら、スローライフ
私「東京モノレール『浜松町駅』の上りエスカレーターって速いよね」
Oさん「確かに速い。通常の1.2~1.3倍くらいはあるんじゃないかな?」
私「高齢者や身体の不自由な人にとっては優しくないよね。乗るタイミングを逸すると大変なことになっちゃう。よく転倒事故とか起こらないよね」
Oさん「公にはなってないけど、実際には起こっているんじゃないかなあ。しかし、その一方で一部の商業施設ではエスカレーターの速度を落としているよね。あれは通常の8掛けくらいなのかなあ。普通の人の感覚からするとちょっとじれったいかな。僕は、乗りながら歩いちゃうんだ」
私「1973年に全日本交通安全協会(東京都/今井敬会長)が『せまい日本 そんなに急いでどこに行く』と年間スローガンを出して、スピードアップする時代に警鐘を鳴らしたけれども、その後は何でも加速するばかり。ファーストフード、ファーストファッション、ファーストラブ、ファーストライフ…」
Oさん「けれども近年はスローフード、スローライフといった対立概念も出てきているよね。ノンフィクション作家の島村菜津さんは『スローフードな人生!』(新潮文庫)のエピローグで『スローフードとは、口から入れる食べ物を通じて、自分と世界との関係をゆっくりと問い直すことにほかならない』って書いているけど、それはそれで大事だなと思うんだ」
私「確かにね。『急がば回れ』という諺もあるしね。ただ最近、“ファースト”であることをそんなに敵視しないでもいいんじゃないかなと感じているんだよ。高齢化が進んで、人口の大半が高齢者になってくると、急ぎたくても急げなくなるんじゃないかな。早く動けなくなるし、早く歩けなくなるし、早く食べられなくなる。あと10年もすればOさんも私もスローライフを実践せざるをえなくなるような気がするんだけど、社会全体が高齢化するまでゆっくり待つというのはダメかなあ?」
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