リアル以上にオンラインでも充実!「セフォラ」のユニークな顧客体験とは

解説・文:福田 稔、藤後 順己(ローランド・ベルガーシニアコンサルタント)
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化粧品の「セルフ販売」で顧客の心をつかむ

 セフォラ(Sephora)は1969年にパリで創業した世界最大手の化粧品専門チェーンである。創業当時、台頭著しかったパリの百貨店ではブランドごとにカウンターが設けられており、手軽に商品を比較・検討することができなかった。この百貨店の売り方に対する“アンチテーゼ”として、当時香水専門店であったセフォラは、顧客自身が商品を自由に試せる販売スタイルを提案し、消費者の心をつかんだ。

 その後、97年にLVMHの傘下に入ったのを機に香水以外の化粧品全般を本格的に取り扱うようになり、98年には米国、99年には日本に進出(2001年に撤退)するなどグローバルで拡大を続け、今では35カ国で約2600以上の店舗を展開している。

 具体的な業績数値は公表されていないが、17年から19年にかけての年間平均成長率は約15%と継続的に売上を伸ばし、19年は約97億ドルに到達している模様である。ただ、店舗販売を事業の軸としていることからコロナ禍ではあおりを大きく受け、20年は対前年比で約30%弱の売上減少に見舞われた。現在は世界的なロックダウン(都市封鎖)の解除や行動規制の緩和により21年の売上高は約91億ドルへと急速に業績を回復している(図表)。

図表●セフォラの推計売上高推移

PB「セフォラコレクション」に大きな支持

 これまでセフォラが飛躍的な成長を遂げてこられたのには、主に2つの要因がある。

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