「Qoo10」のライブショッピングが好調 1時間で数億円を売り上げる仕掛けとは
eBay Japan(東京都/グ ジャヒョン代表)が運営するECモール「Qoo10」のライブショッピング事業が好調だ。1度の配信で売上が数千万円にのぼることは珍しくなく、1時間で3億円を売り上げた記録もあるという。2024年にはライブコマース専用スタジオを開設し、さらなる事業拡大に弾みをつけた。どのような仕組みで多くの視聴者を集め、購買につなげているのか。事業責任者に話を聞いた。
視聴者もライブ配信に参加

Qoo10は、コスメ用品やレディースファッション、家電など幅広い商品を取り扱うECモールだ。年に4回開催する大型セールイベント「メガ割」やポイント還元セール「メガポ」がユーザーから人気を集め、会員数は25年3月時点で約2500万人。ユーザーの8割を女性が占め、とくに10~20代の若年層から高い支持を集めている。
ライブショッピング事業は、メガ割に続く重点施策として21年9月に始まった。主に扱うのはコスメ・スキンケア用品やファッションアイテム、食品だ。ブランド担当者やインフルエンサー、タレントが出演し、商品について紹介する。Qoo10アプリやQoo10公式X(旧Twitter)から手軽に視聴でき、配信を見ながらECサイトに移動して商品を購入できる。配信中に購入すれば、特典がついたり割引になったりすることもあるという。

大きな魅力は、配信中にリアルタイムで質問やコメントを投稿したり、商品を気に入った場合は商品にハートマークをつけたりと、売り手と買い手が双方向でコミュニケーションを取れることだ。コメントすればQoo10で使えるポイントが付与されることもあり、視聴者の参加を促す動機にもなる。
商品の見せ方も工夫しており、たとえばフェイスマスクでは、出演者が皿の上でフェイスマスクを絞り、マスクに含まれている水分量の多さや保湿力の高さをアピールする。

コスメ・スキンケア、メイクアップ用品の配信はユーザーの注目度が高いが、最近では韓国食品の配信も視聴者数が伸びているという。韓国食品はZ世代を中心に人気を集めているが、近隣の店舗では販売していないことも多い。中身や味を知りたいという関心が高く、配信で出演者が実際に商品を調理し、食べて感想をいうことは、購入を検討する上で重要になるという。
eBay Japanマーケティング本部長の金載敦氏は「ただ商品の中身を見せたり、配信限定の特典をつけてお得感を演出したりするだけではなく、見ていて楽しくなるような演出を沢山盛り込んでいる」と話す。
実際、配信中はコメント欄に「購入しました」という投稿が相次ぎ、商品を気に入った視聴者がつけるハートマークも増えていく。売れ行きが好調であれば、出演者も「今1000個売れました」などリアルタイムで販売状況を伝えることも。金氏は「配信そのものが盛り上がることで、一緒に参加したい、今すぐ購入したい、というようにお客さまの気持ちも高ぶっていく」という。
こうしたサービスが好評を博し、現在は1回の配信につき平均10万人が視聴する。さらにメガ割期間中には40~50万、ピーク時は80万にものぼることも。視聴者のうち、平均すると約10%が商品の購入に至っているという。