若年層の心を鷲掴み! トレンドキャスケットが手掛ける「体験型店舗」が支持を集める理由
プロによるメイクや、コスメ用品の使い比べなどのサービスをすべて無料で体験できるという店舗が、若年層の間で人気を集めている。運営に携わるのはトレンドキャスケット(東京都/二階堂京介社長)。「体験型」をテーマに掲げ、東京・原宿の「Tierland(ティアランド)」を運営するほか、ヨドバシカメラ(東京都/藤沢和則社長)と協業して「Yodobloom池袋」も展開する。無料で充実したサービスを提供する「体験型」店舗はどのような仕組みで運営されているのか、二階堂社長に話を聞いた。
お客、メーカー双方にメリットをもたらす

「ティアランド」はトレンドキャスケットが2022年、「体験型美容テーマパーク」として東京・原宿でオープンした。商品販売を目的としない体験型ショールームで、大きな特徴は美容関連の体験サービスを無料で提供すること。プロがお客1人ひとりの顔や肌質のタイプを診断し、ベースメイクやポイントメイクを行う。カウンセリングも合わせて行うため、お客はコスメ用品の使い方やメイクの悩みなども相談できる。
ほかにもパーソナルカラー診断やサンプルも受け取れるスキンケア体験もあり、いずれも無料だ。店内に並ぶ20種類以上のメーカーの商品から、使いたい商品を選ぶことができる。商品をその場で購入することもできるが、一部の商品は近隣の店舗やECサイトを案内している。
なぜこうした仕組みで運営が成り立つのか。可能にしたのが、お客側、メーカー側双方にメリットをもたらすトレンドキャスケットが独自に編み出した「システム」だ。
まず、お客は希望の体験を予約するため、ティアランドのアプリをダウンロードする。来店してサービスを体験した後には、アプリで商品の感想などをアンケート形式で回答するほか、InstagramなどのSNSに口コミを投稿することが必要となる。

一方、メーカー側はティアランドの陳列棚への出展料を払い、商品を用意して陳列する。「試してみたい商品」としてお客に選ばれると、プロがメイク時に商品の特徴などをお客に伝えてくれるほか、アンケートなどから商品を使った感想や年代などを分析したレポートを受け取れる。また、SNSへの投稿はメーカー側の情報発信や広告とは異なり、UGC(User Generated Content:ユーザーがつくったコンテンツ)投稿となるため、リアルな声が拡散され、商品のPRにもつながる。
このシステムは若年層の心を掴み、TikTokやInstagramを中心としたSNSの口コミや、友人を連れたリピート客により来店客数が大きく伸びた。時期によって変動はあるものの、Z世代、α世代を中心に毎月約1000人が訪れ、アプリのダウンロード数は4万人を超える。