三越伊勢丹がオンライン接客で販路獲得に成功した「緻密な仕掛け」と利用客数10倍の道筋とは?

野澤正毅
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買い上げの約10%が20代の顧客

接客の様子
現在、約200名の店頭スタッフがオンライン接客に携わる

 三越伊勢丹リモートショッピングアプリのダウンロード数は約1万件。フィッティングの要らない服飾雑貨などの売れ行きがいい。利用客には、店頭の顧客とは違った特徴も見られるという。

 特徴の一つ目は、客単価が店頭よりも約2倍も高いこと(伊勢丹新宿店事例)。「利用には事前登録が必要なためか、商品選びに熱心なお客さまが多いですね。また、期間限定のイベントでも、オンラインならアクセスしやすいため、購買にもつながりやすいと考えられます。」(同)。二つ目は、遠隔地からのアクセスが多いこと。買い上げた顧客のうち、首都圏以外が約半数を占めるという。百貨店は、地方店や郊外店の撤退が相次いでいるが、「三越伊勢丹リモートショッピングアプリがあれば、店舗再編の際にも、地方の既存のお客さまとのつながりがより深まるでしょう」と、升森氏は期待する。三つ目は客層の若返り。新宿店では、利用客の約70%が40代以下で、店舗利用顧客としては少ない20代も約10%となっている。つまり、新しいチャネルとして、店頭ではリーチしにくい顧客を開拓できているわけだ。

 オンライン接客を担当しているのは現在、店頭での接客も兼任するスタッフ約200人。新宿店は約100人で、スタート時点よりも倍増した。日本橋店は約70人、銀座店は約30人だ。オンライン接客は、基本的には各ショップで行うが、日本橋店では、婦人服、紳士服といった各カテゴリーのコンシェルジュや、全店のコンシェルジュを担うストアアテンダントが、顧客をショップやほかのカテゴリーの担当につなぐなど、部門・ショップ横断の買い物体験ができるようにしている。

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