今後の新規出店のモデルとなるか? 「ロピア北加賀屋店」売場レポート
加工食品売場は標準型に
加工食品売場のスペース構成比は25%と高く、催事が大きく寄与した。ただ、残念なのは新たな提案がなく、既存の商品を並び替えた印象を受けた。地域性を考え、堅実な対応を選択したのだろう。
前方に即席麺、米を置くが、後方を重視した配置となっており、催事を絡ませた構成になっている。
即席麺はカップ麺36尺、袋麺12尺とスペースは広く、扱いも約90品目あり、大型サイズを絡めた構成だ。日清食品をベースに「カップヌードルしょうゆ」「どんべい」(139円)を販売。袋麺は5袋入りは売れ筋商品と韓国商品などで構成、個食はご当地ラーメンを「藤原製麺」と「寿がきや」を軸に、「みなみかわ製麺・オホーツクの塩ラーメン」、「かまいし特産店・金の釜石らーめん」、「山田屋・山岡屋しょうゆラーメン」、「元祖長浜屋」など約40品目で構成。最近の店はスペースがなく商品を絞っていたが、標準スタイルに戻しているようだ。
後方もゆったりとした売場配置で、コーヒー33尺、カレー36尺などで展開。各カテゴリーはロピアの標準棚割りで個々のフェースが増え、品切れの棚は目につかなかった。目立ったのはソース売場でお好み焼きやたこ焼きに対応する商品は地元メーカーを絡めていた。
定番売場はゆったりした配置で落ち着きがあり、品切れ商品も少なかった。さらに売場が広くスペースが空いているので、エンドでのはみだし陳列も目についた。関西の匂いもいいが、今やロピアは全国区。ましてモデル店であればより注目度が高く、手本になる売場づくりが求められているのではないか。
種類・飲料売場は特別な対応はせず
酒・飲料売場は前方に飲料、後方に酒類を配し、両カテゴリーでゾーンを形成している。売場スペ―ス構成比が11%と高いのは催事スペースが多いからである。酒・飲料とも既存スタイルで新たなチャレンジはなかった。
この週のチラシにはロピアオリジナルの「黒烏龍茶2ℓ」(1本99円、6本499円)を掲載。その他飲料では「コカ・コーラ1.5ℓ」、「大塚製薬・ポカリスエット1.5ℓ」(169円)、「サントリー・伊右衛門2ℓ」(139円)を販売。棚は小容量と大容量に分離して陳列している。
酒も同様で、ビール系飲料と缶チューハイもほぼ売れ筋商品を揃え、下段はケース販売。日本酒は「久保田」「剣菱」「賀茂鶴」などの銘酒、焼酎乙類も同様に「黒霧島」「いいちこ」など売れ筋商品を並べる。ウイスキーも輸入・国産とも売れ筋商品で構成。ワインは21尺で価格帯別に陳列しており、1~3段目の棚は299円~1000円、4段目は1111~1999円、5段目は1999円~3999円をそれぞれ配置する。直輸入を含め値頃な価格帯である。標準スタイルで特別な対応を取っていないが、基本を重視したのだろう。
菓子売場は買いやすさを重視
ロピアの菓子売場はレジが混雑すると人だかりで購入が難しいが、この店は通路幅が10尺~14尺と広くなり、混雑時でも買えるようになった。定番は既存スタイルで新たな提案はなかったが、キッズ関連に力を入れているようだ。玩具菓子では「トーマン・トイズ」をはじめ、「アンパンマン」は9尺34品目を扱うなどメリハリをつけている。
菓子大袋は25尺73品目の扱い。「ロッテ・チョコパイ9個」(270円)など除外品はあるが、「不二家・カントリーマアム19個」(279円)、「ブルボン・アルフォート178g」(239円)は3個555円で販売するなどの対応がみられた。催事はレジ前やエンドなどで積極的に対応。課題を挙げるとすれば、「量感」の意識が強いという点。はみだし陳列が多いため、売場全体がやや雑に見えてしまうかもしれない。
窮屈さを解決、はみだし陳列に課題も
北加賀屋店は店舗正面から見ると、まさにこれが「ロピア」だという主張が伝わってくる。これまで見てきたように、広い入口に広い通路、とくにレジが並ぶと買えない菓子売場が10~12尺の広い通路j幅となっており混雑しても買物ができるようにしている。またセルフレジ6台を導入、生鮮ゾーンは間を取ってゆったりと配置されており、ロピアの物理的課題がおおむね解決されている。
売場配置、商品構成で新たなイノベーションを期待したが、売場の配置はバランスの取れた生鮮ゾーン、壁面配置の日配、平場の酒・飲料ゾーン、前方の菓子売場、後方の加工食品と、従来のロピアと同様だ。
商品構成については、生鮮では鮮魚売場の対面販売が目立つぐらいで大きな変化はなかった。日配も関西系商品は扱うものの、商品構成は変わらずほぼ固定化されている。加工食品もソースなど地元色を打ち出しているが、全体的には既存の定番売場を踏襲。今や全国100店規模になり現場主義を掲げる一方で、標準化も求められているのかもしれない。そのモデル店としての位置づけと意味づけが北加賀屋店にあるようだ。
新店のモデル店でもあり、店内は明るく、生鮮ゾーンの演出、壁絵などスマートな演出がなされている。それだけに陳列でもスマートさが求められる。
「ロピア」はディスカウントストアなのか食品スーパーなのか、はたまた日本型の「コストコ」なのか。それとも「ロピア」は「ロピア」なのか。その定義はないのが現状であるのかもしれない。ただ、お客も同業者もロピアの売場への関心は高い。スタッフも現場意識が強く、販売への執念を燃やしている。そのため加工食品・菓子売場ははみだし陳列が多く、売場がやや雑然となっている。催事展開は否定しないが、ロピアの強さはやはり定番売場であり、売場全体を鑑みた対応が求められているのではないだろうか。
(店舗概要)
所在地 大阪府大阪市住之江区北加賀屋3-5-37
開店日 2024年4月23日
売場面積 約780坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 230台
競合店 ダイエー北加賀屋店、ライフ加賀屋店
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