百貨店の婦人服売場で異変!?高島屋がジュンとのコラボショップを立ち上げた理由
婦人服フロアに表れた客層の変化
2023年5月、大阪店で「モア サロン エ ロぺ」の1号店をオープン。6月には横浜店、10月には京都店と、ここまで着実に店舗を増やしてきた。
横浜店もオープンから半年以上が経過して、「客層の変化が表れていると感じる」と嶋廻氏は手ごたえを見せる。
「他のショップとは明らかに客層の異なる若い年代のお客さまや、親子で訪れるお客さまの来店も多い。婦人服売場に新しいお客さまを取り込みたいというのが目的の一つではあったので、そこに関しては成果が見られる」
効率を重視して最初からアイテムを絞り込むことは方針として行っていない。例えば6万円台のウールコートは通常ならロング丈とショート丈の2種類展開のところ、さまざまなレングスのバリエーションを用意。その分、来店者が試着に入る回数も増えており、着実に購買につながっているという。
今シーズンにおけるウールの製品は、どのブランドも軒並み苦戦している。前年の上海ロックダウンの影響で非ウールの製品が入荷されなかった反動で、非ウールの需要が高まっているためだ。しかし、その中でも「モア サロン エ ロぺ」では「ウール製品は通常の倍ぐらいのペースで売れている」(嶋廻氏)という。
大阪、横浜、京都と、同じ屋号を冠していながら、一つとして同じ店舗設計はしていない。それぞれの店舗ごとに、客層をとらえて異なる品ぞろえや企画を行っている。
10月にオープンしたばかりの京都店の店舗は、同じく高島屋グループで同月にオープンした「京都髙島屋 S.C.」とを結ぶ渡り廊下の入り口に面している。SCとの親和性の高いライフスタイル型の店舗を百貨店とSCの結節点に設けたことで、SCから百貨店への送客効果も表れているという。
店舗を共同運営するジュンとは、毎月会議を行い、各店舗における商品やターゲットについて議論を交わす。3か月に1回はジュンの佐々木進社長も自ら出席するというから、ジュン側の力の入れようもうかがえる。