コロナ禍における家飲みマーケットの分析から見えてきた「市場拡大」のヒントとは?
一緒に食べられるメニューの変化をとらえ食シーンの提案を
このようにコロナによって家飲みは飲むシーンや時間が変化し、飲む酒も多様化してきている。それでは一緒に食べられるメニューにはどのような変化が起きているのだろうか?それぞれのお酒に求められているメニュー提案を行うことでより充実した家飲みをしてもらい、マーケットの拡大につなげていきたい。表は2020年3月~6月の期間でそれぞれのお酒と一緒に食べられるメニューをリフト指数(一緒に食卓に並びやすい)順にランキングすることで各お酒との相性のよさを、そして同時出現率の増減から求められてきているメニューを見つけることができる。
枝豆、チーズなどお手軽に出せるメニューがどのお酒にもランクインしており、同時出現率も伸びてきている。刺身もおつまみとしての人気が高いが同時出現率は減少傾向だ。コロナ禍により買物頻度が減少したため、生鮮品よりは冷凍の枝豆などストックしやすい商品が選ばれやすくなってきている。
ビールとアイスクリームが一緒の食卓に並びやすく、同時出現率が大きく増加してきている点も興味深い。買物カゴ分析で酒類との同時購買状況を見るとプレミアムアイスやチョコレートなども一緒に買われやすくなってきており、夫婦飲みにはデザートも求められていることがわかる。
最後にチューハイやビールとの同時出現率が伸びてきている焼き餃子に注目したい。そもそもコロナ禍において餃子の食卓登場は高まってきており、「マスクのおかげで口臭をあまり気にしなくてよくなった!」「外出機会が減ったので昼からにんにく料理でも平気」といった人が増えてきている。実際にスーパーでの歯磨き粉やマウスウォッシュなどが含まれるオーラルケアのカテゴリーは前年割れが続いている。酒類との同時購入が増えているのも、餃子の皮、にんにく、ニラでとくに若年層が手づくり餃子で家飲みをというシーンが拡大している。酒類と餃子の皮を購入している人の買物カゴを分析してみるとサルサソースやナンプラー、チリソースなどのエスニック調味料、また海老やチーズなどがリフトしており、つけダレや中具をアレンジした餃子をおつまみとして楽しんでいる状況が窺える。
家飲みマーケット拡大のための対策としては定番おつまみに加えて、コロナ禍によって増えた①ストックできてパッと出せる商品②お酒の〆となるデザート③アレンジ焼き餃子、の提案が効果的だと思われる。
文=日本食研ホールディングス株式会社食未来研究室 専任課長 児玉一穂 食未来研究室ホームページ:https://nsk-shokumirai.com/
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