カテゴリーフォーカス:日本酒、コロナ禍による巣ごもり消費が追い風奥行き、価格帯ともに広がり
吉乃川、フードペアリングを重視した新たな大吟醸、純米大吟醸を発売
天文17年(1548年)創業の吉乃川は、470年に及ぶ長い歴史の中で、伝統を守りつつ新しい酒づくりにも積極的にチャレンジしてきた。本年は新たな試みとして食事とのペアリングを重視した新商品「純米大吟醸50Pair」「大吟醸50Pair」を発売する。

クラファンにも意欲新たな客層をつかむ
400年以上の歴史を持つ新潟・長岡の酒蔵吉乃川。米どころである新潟の米を原料米とし、2年前からは農地所有適格法人を設立。酒づくりに最適な酒米を自ら育てるほか、新潟では栽培が難しいと言われている山田錦の育成にもチャレンジする。
同社では基幹ブランドである「極上吉乃川」「厳選辛口吉乃川」をはじめ、高級路線となる30年ぶりの新ブランド「みなも」など、こだわりの日本酒や焼酎、リキュール類の商品を多数開発してきた。
とくに近年はクラウドファンディングの「Makuake」を活用し、現代の「通い徳利」を再現し、酒蔵と消費者が直接つながることをコンセプトとした「カヨイ」の取り組みをスタート。早々に目標金額を達成し、コアなファンを獲得している。
また2020年夏にはコンビニエンスストアのファミリーマートとコラボレーションし、日本酒カクテル「サケ トニック」を発売。日本酒特有の甘みや旨味にトニックウォーターをイメージした風味を加えたすっきりした味わいで、普段日本酒になじみのない若い世代にも好評を得た。
今秋は、地域・一部流通限定で販売していた二次発酵によるきめ細やかな泡が心地よい発泡性純米酒「酒蔵の淡雪プレミアム」の全国発売も予定している。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、家飲み需要が拡大する中、普段から日本酒を飲むユーザーの奥行きが広がったが、さらに今まで自宅で日本酒を飲まなかった生活者の飲酒も増えている。価格帯は1200円から2000円弱が中心で、購入頻度はそれほど高くないものの、少しよいものを飲みたいというプチ贅沢の意識が広がっている。
食と時を愉しむデイリープレミアム大吟醸
吉乃川では、これまで精米歩合40%以上を大吟醸、純米大吟醸と位置づけており、贈答用の高級路線の商品を中心に開発してきた。しかし、コロナ禍で高まる家飲み需要の変化に対応するため、精米歩合50%で香りは穏やかでありながら、深みのある旨味と酸味のバランスがよい、新潟らしいすっきりした後味の新商品「純米大吟醸50Pair」、「大吟醸50Pair」を今秋、投入する。
新商品のメーンターゲット層は、30-50代の食事の時間を楽しむ世代。吉乃川では同製品の発売にあたり、「Pair」という概念を提案している。Pairにはものや人などを一対にするという意味があるが、同社はこの言葉に、人々の普段の暮らしと日本酒をつなぎ一対にすることで、酒の席を楽しんでほしいという想いを込めている。
同社では今年3月に純米酒「Pair」を発売。同品は酒と食をつなぐペアリングにより、さまざまなシーンに拡がっていくことをコンセプトとしている。
今回発売となる「純米大吟醸50Pair」、「大吟醸50Pair」はこの「Pair」の概念に取り入れた商品だが、あえて、ブランド名を前面に出すことしない。純米酒「Pair」や他の同じタイプの製品を「時間を愉しむ」というくくりの中で再カテゴライズする。中でも同商品は、食との関連性を大切にし、「食と時を愉しむ」デイリープレミアムを提案していく。同社のWEBサイトでは日本酒に合うレシピを多数紹介し、日本酒と食事のペアリングを訴求していく。
吉乃川では、安定した品質の日本酒を全国に届けるのと同時に、厳選された材料によるこだわりの酒造りの2軸で、日本酒文化の発展に貢献していきたいとしている。
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