1万3000個のキャベツ廃棄を救った「1行の言葉」 「こだわり」「厳選した」では印象に残らない
はじめまして、コピーライターの川上徹也です。この連載「チラシ、POPに使える1行バカ売れ塾」では「店舗の皆さんが、チラシ・POP・メニューなどでどのような言葉やストーリーを書けば売上に繋がるか」の理論について、実例を交えつつ紹介していきます。第1回は、「強い言葉」を書くために、「使ってはいけないフレーズ」について紹介します。
ピンチの時こそ「言葉の力」で
新型コロナウィルスの影響で売上が厳しいお店も多いでしょう。そんなピンチの時にこそ、「言葉の力」が重要になってきます。ここでは、大きなピンチを「言葉の力」で解決した事例をご紹介しましょう。
2016年10月、広島県の山間部にある北広島町芸北地区で1万3000個ものキャベツが廃棄されようとしていました。寒暖の差が激しいことから甘みが増し、ここで採れるキャベツはおいしいと評判です。しかしこの年の夏、長雨の影響で見た目が出荷基準に達しないキャベツが混じってしまいました。それが理由で、すべてのキャベツが規格外として廃棄されることになったのです。
同地区にある芸北ぞうさんカフェのオーナーである植田紘栄志さんは、近所の農家からこの話を聞き、何とか廃棄せずにうまく活用してもらえる方法はないか考えました。しかし何しろ余っているのは1万3000個のキャベツです。収穫や運搬するだけでも大きな手間や費用がかかります。
このキャベツ農家のピンチを植田さんは「1行の言葉」で解決します。廃棄されるキャベツを救ったばかりか、農家に収入をもたらし、自分のカフェにもお客さんを呼び込むのです。さて彼がチラシに書いたのは、どんなキャッチコピーだったでしょう?
「空気コピー」でなく「強い言葉」を
植田さんが実際に書いたキャッチコピーは後ほど紹介するとして、まずはチラシやPOPなどで人の心を動かす1行を書くための原則をお伝えしましょう。
当たり前ですが、どこにでもある「平凡な言葉」を書いても、誰の注目を浴びません。人の心を動かすには「強い言葉」である必要があります。「強い言葉」を使うと、受け手の心に刺さります。そうなると受け手がその商品を買いたくなるなどの行動に繋がる可能性が大きくなるのです。
言葉を強くする具体的な方法は次回以降にお伝えするとして、今回は「使ってしまいがちだけど、できるだけ使わない方がいい常套句」について紹介しましょう。たとえば食品や料理などを紹介する時、もっとも多く使われる常套句はなんでしょう?