好調のはずなのに アリババ、フーマフレッシュ売却報道の真因
中国のアリババ(Alibaba)の「新小売」戦略の要ともいえる食品スーパー(SM)「盒馬鮮生(フーマフレッシュ:以下、フーマ)」の売却報道が出ている。それだけでなく百貨店「銀泰百貨」、SM「大潤発(RTマート)」などの名前も挙がっており、アリババの新小売系事業が軒並み売却の方向で検討されているというのである。
新小売戦略は2016年にアリババ創業者のジャック・マー氏が「オンライン小売はオフライン小売と深く融合し、すべての小売業は新小売になる」と宣言して始まった。その成果は確実にあがっている。たとえばフーマではネット/店頭での購入と、店頭/30分宅配の受け取りを組み合わせられるようにしたことで、オンライン注文率は65%を超え、1㎡当たり売上高は中国の平均的なSMの4倍以上を達成した。
EC、ライブコマース、即時宅配を組み合わせた銀泰百貨は、コロナ感染拡大期の20年には休業を余儀なくされたが、「オンラインで営業するクラウド百貨店」として注目を集め、同社ECサイトへのアクセス数はそれまでの来店客数を超えるほどだった。
上場計画はすでに停止
こうした好調下で、なぜ売却報道が出たのか。
背景にあるのは、アリババが資産運用会社を設立し、そこに新小売系事業の株式を移管する計画を進めていることだ。これは株券を“金庫”から“財布”に移したということであり、売却の予備行動と目されているのだ。
また、アリババのジョセフ・ツァイ会長は23年9月期の四半期報告の電話会議で「非コア事業資産を現金化する。資本の結びつきはあるものの、成長率の低い事業がある。株主の皆さまに還元できるように、このような事業を現金化する“創造的な方法”を検討している最中だ」と発言。これにより、新小売事業売却の意向は
チャイナ&アジアトレンド の新着記事
-
2024/12/16
苦戦続きの中国のショッピングモール、二次元コンテンツが起死回生の一手に -
2024/11/18
不況で飲食店がバタバタ倒れる中国 FC飲食店は急増している理由とは -
2024/10/18
スタバが劣勢、ラッキンも抜く?中国カフェ「コッティ」したたかな戦略とは -
2024/09/21
アマゾンの成長減速の一因がシーイン、Temu の躍進だと言える理由 -
2024/08/15
無料ネイルサロン提供する異色の中国火鍋チェーン、次なる一手 -
2024/07/05
中国でサイゼリヤが絶好調の理由と追いかけるピザハットの戦略
この連載の一覧はこちら [48記事]
アリババの記事ランキング
- 2020-08-04テンセントの時価総額がアリババを抜き中国一に! 躍進の背景と正しい見方
- 2021-05-18PB開発も飛躍的に推進!成長が止まらないアリババ 4つからなるC2M戦略とは?
- 2022-02-25中国アリババ、増収率10%で上場後最低 10─12月期、競争激化で
- 2022-10-06店舗の概念覆す、フーマーフレッシュ2つの特徴とは
- 2023-09-06テスコ、コンビニ業態の品揃えを低価格品メーンに刷新、アリババ1Q決算は大幅な増収増益に
- 2023-09-28祖業への原点回帰とOMO 急加速するアリババとJD.com の急所とは
関連記事ランキング
- 2024-03-08ストア・オブ・ザ・イヤー2024を発表!今、行くべき店はこの店だ!全42店舗掲載
- 2024-11-18不況で飲食店がバタバタ倒れる中国 FC飲食店は急増している理由とは
- 2024-03-11ストアオブザイヤー2024、7~10位 ヤオコー、ロピアのあの店がランクイン
- 2024-03-11ストアオブザイヤー2024、11~20位を一挙公開!話題の店舗が続々!
- 2024-12-16苦戦続きの中国のショッピングモール、二次元コンテンツが起死回生の一手に
- 2024-03-18キリン堂の生鮮強化型フード&ドラッグ 約1年で3店舗体制に300坪生鮮強化型が進化
- 2024-03-18オギノ、事業の要商品・店舗運営・出店と一体化した物流戦略を推進
- 2024-03-22食用油市場、市場成長は踊り場へ 付加価値の高いオイルの提案が急務
- 2020-08-04テンセントの時価総額がアリババを抜き中国一に! 躍進の背景と正しい見方
- 2021-05-18PB開発も飛躍的に推進!成長が止まらないアリババ 4つからなるC2M戦略とは?
関連キーワードの記事を探す
チケット販売、割引クーポンとも連動!アリババ、地図アプリ黒字化戦略とは
会員制倉庫ビジネスの本質は商売で儲ける必要がないトラフィックビジネスである理由とは
祖業への原点回帰とOMO 急加速するアリババとJD.com の急所とは
苦戦続きの中国のショッピングモール、二次元コンテンツが起死回生の一手に
不況で飲食店がバタバタ倒れる中国 FC飲食店は急増している理由とは
スタバが劣勢、ラッキンも抜く?中国カフェ「コッティ」したたかな戦略とは