アリババ、新型肺炎で1─3月期に影響と警告 昨期は増収増益

ロイター
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浙江省杭州アリババ
中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングは13日、中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大による供給網や物流などへの影響で、第4・四半期(1─3月)は中核のeコマース事業が減収となる可能性があると警告した。浙江省杭州で昨年11月撮影(2020年 ロイター/ALY SONG)

[13日 ロイター] – 中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングは13日、中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大による供給網や物流などへの影響で、第4・四半期(1─3月)は中核のeコマース事業が減収となる可能性があると警告した。第3・四半期決算は1株利益と売上高が予想を上回るなど堅調だった。

張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は、新型ウイルスの感染拡大により春節(旧正月)休暇後の企業の操業開始が遅延したことで注文への対応などに遅れが出たほか、多くの飲食店が休業を余儀なくされたため、食品の注文が前年比で減少していることを明らかにした。

武衛(マギー・ウー)最高財務責任者(CFO)は、アリババの商品販売に関わる業務の大半は1─3月期は減収が予想されるとし、「他の企業と同様、アリババも需給の影響を受ける。「需給の回復はアリババ・グループの長期的な成功につながる」と述べた。

ただこうした見通しにもかかわらず、チャンCEOは10日時点で都市部では職場に復帰する人が増えており、物流網も通常状態に戻りつつあると指摘。感染拡大の危機の中、アリババのメッセージングアプリ「釘釘(Ding Talk)」に「爆発的な成長」が見られたことも明らかにした。釘釘は企業や学校が在宅勤務や遠隔授業のツールとして利用している。

アリババはまた、新型ウイルスの感染拡大への対応で、日常必需品が確実に供給されるようにしているほか、出店者への支援なども実施していると表明。アリババ傘下のオンライン決済サービス会社、アント・フィナンシャルが運営するネット銀行の「マイバンク」が国内企業に総額200億元(29億ドル)の融資を提供することも明らかにした。

インベスティング・ドットコムのシニアアナリスト、ジェシー・コーエン氏は「アリババの決算は向こう数四半期は明らかに新型ウイルスの影響を受ける。ただクラウド・コンピューティング事業が主要なけん引役となり、アリババ全体の事業は一時的な軟調さを乗り越えられるほどに力強い」との見方を示した。

第3・四半期決算は、普通株主帰属の純利益が523億1000万元と、330億5000万元から増加。一時項目を除く1米国預託株式(ADS)当たり利益は18.19元と、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の15.75元を上回った。

売上高は約38%増の1614億6000万元。予想の1592億8000万元を上回った。

事業別の売上高は、eコマース事業が38%増の1414億8000万元、クラウド・コンピューティング事業が62%増の107億2000万元。

アリババは例年、中国でネット通販最大の商戦日とされる11月11日の「独身の日」を含む10─12月期の売上高が最も多くなる傾向がある。昨年の独身の日の売上高は384億ドルと、過去最高を更新した。

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