ターゲットにチポトレ、ウォルマートも RFID 本格拡大の背景

文:鈴木 敏仁 (R2Link代表)
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電波を使ってICタグの情報を非接触で識別する技術、RFID(Radio FrequencyIdentification)を導入する企業が増え始めている。

 2022年に実験をスタートし、全3500店舗への水平展開を決めたのがファストフード大手のチポトレ(ChipotleMexican Grill)だ。シカゴの配送センターを中心にして200店舗で利用を開始、現在は都市ごとに増やしており、年末までに全店をカバーするとしている。

携帯端末を用いて在庫をカウントしている様子
携帯端末を用いて在庫をカウントしている様子(ウォルマートの店舗)

 同社のサプライチェーン責任者は4つの効果を指摘している。

 1つめは期間限定商品の動向で、定番と異なるので在庫の状況には最新の注意を払う必要があり、リアルタイムにギャップのないデータを知ることができる。

 2つめはトレーサビリティで、食中毒や異物混入といったトラブル発生時に、すみやかに上流に遡って問題解決を図ることができるようになる。

 3つめは配送状況のモニターだ。配送センターから出荷された商品情報が店長に伝わるスピードが速くなる。

 4つめは店頭作業時間の短縮で、荷受けしたボックスの手作業スキャンから解放される。

 チポトレは生野菜の使用ボリュームが多く、過去に何回か食中毒問題に直面している。おそらくこれがチポトレをして外食業界に先駆けている理由の1つだろうと思っている。

作業軽減と不明ロス抑制に効果

 これら4つの効果は小売でも同じように期待できるものだ。RFIDは

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鈴木 敏仁 / R2Link 代表

在米30年以上、現在はロサンゼルス在住。1997年にアメリカでS.M.R., Inc設立、米国流通業界を軸としたコンテンツ作成ビジネスを開始。また企業が実施する米国流通研修の企画およびコーディネートも合わせてスタート。1998年にリテールウェブを開設。年間訪問店数はのべ600店舗超、現場検証に基づいた分析をモットーとする。

著書

『ソリューションを売れ!』(ニューフォーマット研究所)
『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』(商業界)

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