日本人が誤解している「ウォルマートが多様性支援を縮小した」本当の理由

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ウォルマートが多様性支援を縮小する本当の理由

 ウォルマートが昨年末にDEI政策の縮小を発表した。大企業の方向転換ということもあって日本のマスコミも取り上げていたのでご存じの方も少なくないことだろう。

 DEIとはDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字で、ウィキペディアによると「すべての人々、とくに歴史的に過小評価されてきたグループやアイデンティティや障害に基づいて差別を受けてきたグループのフェアな扱いと完全な参加を促進するための組織的なフレームワーク」となっている。

 このニュースに対してほとんどの日本のマスコミは「強まる保守派の圧力」と、リベラルサイドに立った政治色の強い内容に終始していて、偏り方と短絡思考に閉口したのであった。

ウォルマート店員
ウォルマートは昨年末にDEI政策の縮小を発表した

「多様性支援」がはらむリスク

 ウォルマートが発表している修正点はおよそ以下の5つである。

● NPO組織のHuman Rights Campaignが毎年実施している、職場のLGBTQ+状況を評価するベンチマークスタディに参加しない

●サプライヤーと契約するときにその企業の人種構成や性別を判断基準としない

●人種の公平性の確立を目的とした専用組織を解消する

●未成年者向けトランスジェンダー商品がマーケットプレイスで出品されないようモニターする

●子供に有害な性的コンテンツを提供するようなイベントに金銭的支援をしない

 実はそれぞれの項目にはすべて背景があるのだが、日本の皆さんはご存じないことだろう。

 たとえば

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在米40年、現在はロサンゼルス在住。小売業界ジャーナリスト。年間訪問店数はのべ600店舗超、現場検証に基づいた分析をモットーとする。

著書

『ソリューションを売れ!』(ニューフォーマット研究所)
『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』(商業界)
『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』(ダイヤモンド社)

 

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