アンケート調査で判明! 今いちばん値上がりしている品目と2023年の食品値上げの見通し

2022/12/29 09:55
リテールライター:崔順踊
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成果報酬型の紙媒体広告システム「インターペーパー」を提供するインターカラー(東京都)は、2022年11月4~6日の期間、国内市場にて食品の生産・流通に関わる400人(「生産」「加工」「輸送」「卸」「小売」の)を対象に値上げの動向に関するアンケート調査を実施した。同アンケートで明らかになった2022年の食品値上げの実態と、2023年の食品の値上げ動向予測の概要をレポートする。

sinngern/iStock

6割の事業者が値上げを敢行

 ロシアのウクライナ侵攻などを背景とした世界経済の混乱により、2022年は未曽有の値上げラッシュの1年となった。新聞雑誌などのオフラインメディア向けの成果報酬型の広告サービスを展開するインターカラーは22年11月、「食品事業従事者にきいた 食品の値上げ動向」と題したアンケート調査を実施している。

 アンケートの1つ目、「あなたの事業は2022年に値上げをしましたか。(単数回答)」という設問では、全体の60.1%が「値上げした」と回答した。その割合が最も多かったのは小売で78.9%。小売は「1回値上げした」が43.8%と最も多く、「2回値上げした」が16.3%、「3回値上げした」は18.8%となっている。食品小売業では、カテゴリ別または品数を拡大しながら「再値上げ」を敢行した企業も相次いでおり、アンケート結果にも表れている。

 「値上げをした理由(複数回答可)」についての質問では、全体では「仕入れ価格の値上がりのため」が43.5%と最も多かった。次いで「ガソリンなど燃料・エネルギー価格の値上がりのため」が24.5%、「副資材全般の値上がりのため」が17.3%と続いた。

 仕入れ価格の値上がりは、小売(68.8%)、卸(57.5%)、加工(42.5%)において最も大きな値上げ理由になっている。エネルギー価格の値上がりがとくに響いたのは生産(20.0%)、輸送(27.5%)だ。生産では、エネルギー価格の値上がりに加え「飼料・肥料などの値上がりのため」も20.0%と多く、エネルギー価格の値上がりと同等の最も大きな影響としてとらえられている。

値上げ率が高かったのは……

 値上げを実施した時期(月)についての質問では、帝国データバンク(東京都)の「食品主要 105 社」において2022年の月別で最も値上げ品目数の多かった(6699品目)10月が87件と最も高く、次いで期の変わり目である4月が61件、油脂類や冷凍食品、菓子などが値上げされた9月が55件と続いた。

 これら商品の値上げ率についての質問では、「9~10%」の値上げをしたという回答が最も多く、次いで「4~5%」の値上げをしたという回答が続いた。

 商品別の値上げ率の平均を見たところ、水産加工品が17.3%、水産食品が16.9%、畜産食品が15.5%で、その他の品目はすべて13%以下だった。とくに値上げ率の高い水産加工食品および水産食品について値上げの理由を調査したところ、「仕入れ価格の値上がりのため」が最も大きな理由として68.8%、次に「副資材全般の値上がりのため」が43.8%、「ガソリンなど燃料・エネルギー価格の値上がりのため」が37.5%であった。

 こうした値上げの背景には、欧米のインフレ基調による急激な円安、ウクライナ危機に伴う原油価格や原材料価格の高騰、それらに伴う物流費の上昇や漁獲量の減少など複合的な要因がある。企業努力だけではこれらのコストを吸収できず、商品・サービス価格への転嫁が余儀なくされたという事実が浮かび上がっている。

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