成長が続くドラッグストア業界は何をめざすのか?
食品スーパーや総合スーパー、百貨店などの不振をよそに、ドラッグストア(DgS)は成長基調を維持している。ドラッグストア業界は何をめざすのか。少々遅くなったが日本チェーンドラッグストア協会(神奈川県:以下、JACDS)の池野隆光会長の年頭所感を抄録する。
2025年10兆円をめざす
「2020年、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの年になった。この先にも、21年ワールドマスターズゲーム、25年大阪万博と、国際的な行事が続く。これら大きなイベントは、これから起きる大変化への助走である。JACDSでは、20年の全体的目標として、①尊敬される企業集団をめざす、②25年にドラッグストア(DgS)業界を10兆円産業にするを掲げている」
「①尊敬される企業集団をめざすには、『社会課題の解決への取り組みが、企業の持続的な成長につながる』という考えと行動が大切だ。SDGs(持続可能な社会実現への貢献)が重要であり、買物袋の削減・有料化にも積極的に取り組み、自らも環境を守る行動を起こす必要がある」
「②25年に10兆円産業にするための積み上げをどうしていくのか? このところDgS業界の成長をけん引しているのは調剤、食品、インバウンドだ。調剤はこの先、大きな地殻変動の可能性を秘めている」
「人口が1年に1%減少すれば、消費は3%減るといわれている。3年後には消費が約10%減るということだ。その一方で、高齢化率は急速に高まりを見せている。食や介護など、高齢化に対応した商品の供給では十分な成長余地がある。とくに、寝たきりになる手前の、機能回復が見込める人向けのものが増えていくだろう。現状、DgSはそうした膨大なマーケットをとりこぼしている。相当な伸び率で進行する高齢化に対応できれば、25年に10兆円は可能だろう」