値上げ局面でバローが商品原価を大きく低減させている手法とは
バローホールディングス(岐阜県/田代正美会長兼CEO:以下、バローHD)傘下で、中部地方を中心に幅広いエリアで食品スーパー(SM)を展開するバロー(同/森克幸社長)。同社は同業他社やグループ内の他業態との連携で価格優位性を確保するとともに、来店動機となる独自性の高い商品を強化した新フォーマットへの転換や、アプリを活用したデジタル施策などに取り組んでいる。
自社物流の活用で大量仕入れ
![バロー取締役食品部部長 竹之内栄生氏](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2022/11/dcs221115_Discounting_Case2_Valor_01.jpg)
「メーカーや卸から想像を絶するような値上げ要請が続き、交渉の余地もほとんどない──」。そう現場の実情を吐露するのは、バローで取締役食品部部長を務める竹之内栄生氏だ。日本では売り手(メーカー)よりも買い手(小売)のほうが強い状態が続いてきたが、原材料価格やエネルギー価格の高騰、円安などに伴って売り手が交渉の主導権を握り、買い手にとって厳しい状況となっているという。竹之内氏は、「世の中の流れに逆らうとますます厳しくなる。値上げせざるを得ない」との見解を示す。
竹之内氏は「特売比率の高いカテゴリーでは、お客さまが売価に対してとくに敏感になっている」と最近の購買動向を分析する。パンや牛乳など、家庭で日常的に消費される食品は値上げによる影響が比較的小さいが、即席麺や飲料では値上げによる売上の減少が顕著だ。たとえば、2022年6月の値上げに伴って、バローでは、即席麺の売上が通常の7割にまで一気に落ち込んだ。
食品小売業の事業環境は一様に厳しい。竹之内氏は「各社が『競合他社よりも先に値上げしたくない』と無理をしている」と業界の現状を分析する。バローは自前の物流センターを活用し、粉製品や在庫回転率が高い即席麺、飲料など、価格感度の高い商品を対象に、通常よりも在庫量を増やして粗利益の確保に努めている。
とくにグロサリーは競合店と価格を比較されやすいカテゴリーだ。低価格を実現する仕組みとして、バローは自前の物流インフラを活用し、値上げ前の大量仕入れやロット買い、コンテナ買いなど、発注数量をまとめて仕入れ段階でコストを抑制し、その効果を売価へ還元して集客につなげる戦略を採っている。
新日本SM同盟で12億円超の原価低減
この戦略においてポイントとなるのが、
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