米価の値頃は今3000円台? 「価格はお客さまが決める」の真理
小売各社の決算発表が続いた4月上旬、米価などの物価高にトランプ関税ショックも重なり、会見では消費マインドや商品価格に関する話題が多く出ました。記者は価格上昇について質問し、経営者は各社の施策や考え方を語るのですが、その中で、「価格はお客さまが決めるもの」というフレーズも聞かれました。価格が価値に見合っているか、判断するのは顧客という意味です。米は1kgあたりの価格が2倍になっても売れており、消費者は今、否でも応でも米にそれだけの価値を認めています。小売業は顧客の反応を見ながら、価値と価格の調整具合を探っています。

相場が変われば値頃感は変わる
ライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)の岩崎高治社長が「価格はお客さまが決めるもの」と語ったのは、米価をはじめとする農産物の価格に言及したときでした。同社では3月、米の単価が約2倍になり、販売点数は前年比74%に低下したそうです。
「将来にわたる食料の安定供給のために、生産者の手取りを確保するという考え方には賛成です。ただ、米も価格が上がれば消費は落ちるように、コストプラスオンで価格転嫁するといっても、最終的に価格を決めるのは消費者です。買っていただける値ごろ感を維持した上で、生産者のぶんの利益も確保していく必要があります」(岩崎社長)
ライフの店頭では米5kgが4000~5000円台にもなる中、政府の備蓄米が3000円台で並ぶと、瞬く間に売り切れるそうです。1年前なら、5kgで3000円台といえば相当な高級米です。米価が著しく値上がりして、値ごろ感も変わっていることが分かります。
高い・安いと「価格を語る」とき、それは過去の価格と比べての評価です。値上げに関する昨今の報道はまさにその例です。しかし、消費者が「価格を判断する」ときの材料として、過去の価格は些細な問題かもしれません。現実として過去の価格では買えません。米をやめて麺やパンにチェンジする機会は増えているかもしれませんが、より多くの場合、今必要な米に対して、現在の価格も妥当と判断して購入しているようです。