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「新たな流通革命の時が来た」アークス横山会長は大再編時代をどう展望するか

聞き手:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集長)
構成:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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本拠とする北海道から東北地方にかけて食品スーパー(SM)を展開するアークス。同社はこれまで積極的なM&A(合併・買収)を行いながら、「八ヶ岳連峰経営」を標榜し、各エリアで高いシェアを有するSM企業が緩やかに連帯することで成長を図ってきた。

大型再編が相次ぎ、勢力図が一気に変わろうとする今、同社会長・CEOに昨年5月に就任した横山清氏は今後をどう展望するのか──。

勢力図は未曾有の勢いで変化する

──食品小売業界を取り巻く現在の事業環境をどのように捉えていますか。

横山  長年にわたったデフレの時代が終わり、インフレが続いています。2025年の春闘では、流通や外食などのパート従業員の賃上げ率が過去最高の6.53%となるなど、24年の春闘と同等以上の賃上げ率で妥結する動きが広がりました。

 しかし、インフレになったからといって生産性が上がったといえるのかは疑問です。政府が描く「実質賃金の上昇と労働生産性の向上の好循環」の実現は、決してたやすいものではありません。

 SM業界では、物価上昇に伴って売上高が対前期比2~3%増で推移していますが、数量ベースでは減少傾向にあり、最新の決算でも大半が増収減益となっています。増収増益を確保しているプレイヤーは少数にとどまり、減収減益に陥る企業も見られます。

 インフレ下で価格転嫁が進み、業績が軒並み好調なメーカーや卸に対して、食品小売業はインフレの恩恵をあまり享受できていません。小売側は十分に価格転嫁できていないうえ、人件費や電気代の上昇が利益を圧迫し、潜在的にかなりの部分が「痛んでいる」ように見受けられます。

 25年度にはこれらが顕在化し、業界再編が加速していくでしょう。

横山清氏
アークス代表取締役会長・CEO 横山清
よこやま・きよし●1935年、北海道芦別市生まれ。
60年、北海道大学水産学部卒業、野原産業入社。61年、ダイマルスーパーに出向。
85年、同社代表取締役社長。89年、丸友産業と合併しラルズ代表取締役社長。
2002年アークス代表取締役社長、07年ラルズ代表取締役会長・CEO。
24年5月より現職。

──グローバル規模での業界再編の動きとして、カナダのコンビニエンスストア(CVS)大手アリマンタシォン・クシュタール(Alimentation Couche-Tard)によるセブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイHD)への買収提案が大いに注目されています。

横山  セブン&アイHDはこれまで、食品小売業界において、売上面でも利益面でも圧倒的な“優等生”でしたが、イトーヨーカ堂(東京都)のみならず、主力のセブン-イレブン・ジャパン(東京都)さえも基盤が揺らぎ、国際的な戦いの狭間に置かれているようです。

 食品小売業界では、かつての長崎屋やダイエーのように、

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聞き手

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集長

1987年石川県生まれ・東京都育ち。上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。編集記者、副編集長を経て25年4月より雑誌ダイヤモンド・チェーンストアおよびダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長。

これまで、企業特集(トライアルカンパニー、大創産業、クスリのアオキ、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。趣味は無計画な旅行とサウナ。最近は年齢相応(?)にランニングにハマり、フルマラソンも完走。

構成

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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