1日の残業わずか4分!完全自前化進めるおおさかパルコープの宅配改革

文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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生活協同組合おおさかパルコープ(大阪府/奥井和久理事長、以下おおさかパルコープ)は、共同購入事業の改革に取り組んでいる。配送拠点である「支所」の労働環境を改善するほか、支所主導で独自商品の開発を行うなど、「職員のやりがいづくり」をテーマとする各施策を工夫。これらにより長く働き続けられる職場の実現をめざしている。

安治川支所外観
22年11月から稼働している安治川支所

おおさかパルコープ概要
本部所在地 大阪市都島区東野田町1-5-26
出資金 230億7674万円(2023年度)
供給高 591億円(2023年度)
組合員数 44万7526人(2023年度)

経常剰余率6%高収益生協の大改革

 おおさかパルコープの総供給高は591億円(2024年3月期)。経常剰余率は6%で、全国トップクラスの収益性を誇る生協として知られる。組合員数は44万7526人。

 事業別供給高の内訳は、共同購入503億円、店舗(9店舗)87億円。24年度に入っても上期は供給高、経常剰余金ともに計画値を上回る水準で推移し、好調を維持する。

 事業エリアは、大阪市(淀川区・西淀川区・東淀川区除く)のほか守口市、門真市など全8市。なかでも人口が多い大阪市は、1k㎡圏内に組合員数が約600人と高密度で分布しているのが特徴だ。

 そんなおおさかパルコープでは近年、事業の85%を占める共同購入の改革に取り組んでいる。年間の離職率は18%で、全国にある生協の平均値と比べても高くはないものの、長く働き続けられる職場の実現をめざし、各種施策を実施している。大きくは、完全自前化と支所数を増やすなどした働きやすい環境づくりの2点だ。

 おおさかパルコープでは、共同購入は自前で配送していたが、需要が増え続ける個配の配送業務は外部委託していた。外部委託は事業をスタートしやすいものの、事業および収益のコントロールも制限される。そこで、12年頃から委託職員を徐々に減らし、23年1月まで11年かけて宅配の「完全自前化」を完遂した。

 この間、正規職員を次々と採用したため、配送を担当する職員の平均年齢は28.8歳(同生協全体では38.8歳)と若い。しかも、職場環境に求めることがこれまでの世代とは異なるZ世代も多い。そこで、若い世代含め、配送担当職員にとって働きやすい環境の整備に乗り出した。

本気で進む働き方改革1日の残業時間4分弱!

 16年度以来、進めてきたのが「支所」と呼ばれる配送センターの拡充だ。90年代前半、支所は最大24あったが、効率化を意図した統廃合で14年までに9支所に減少。しかし、

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森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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