大競争・大淘汰時代の食品小売業の組織改革法とは!

リテイリングワークス:佐々木桂一
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食品小売業大競争時代の幕開け

 食品小売業界は、かつてないほどの激動期を迎えている。

 ドラッグストア(DgS)のフード&ドラッグ化、ロピアやオーケーなどディスカウント・スーパーマーケット(SM)の台頭など、新たな競争相手が続々と現れ、商圏シェアだけでなく人材まで奪われ始めている。

 物価上昇や賃金上昇、物流2024年問題など、「存続」を脅かす大課題も、これから次々と襲ってくる。ここ数年の好調な業績を支えた、コロナ禍やインフレによる売上高上昇はすでに終わった。増収増益基調から一転、何もしなければ「大幅減益」という時代に突入したと言えるだろう。

食品スーパー店内
激動の時代こそ、数値で細部を点検することが肝要。まずは実態の経営数値を可視化するために計数管理から始めるべきだ(Hispanolistic/iStock)

 店舗間競争は、地域限定の局地戦という単純な問題から、全国的な問題へと拡大。ここに人材引き抜きなどヒト(人材)、モノ(商品)、カネ(資金)のすべてを企業間が奪い合い、優劣を競い合う熾烈な競争局面へと発展した。

 とくに多くの中小SMにおいては、ヒト・モノ・カネが不足し、被M&A(合併・買収)や企業破綻が増加し始めている。また、生鮮食品強化型DgSの台頭により、多くの中堅SMの収益源である、「精肉部門」などが侵食され、大きなダメージを受け始めている。また、「酒類部門」などの売上減少および、キャッシュレス化による回転差資金の急速な減少も、企業経営に大きな打撃を与え始めている。

 このような状況下でも、多くの中小・中堅SMは「今までもなんとかなってきた。これからもなんとかなるだろう」と危機感がないのが実情だ。

 また、たとえ危機感を持ったとしても「どうすればいいかわからない」と戸惑っている状況で、このまま手をこまねいていると大きな時代の波に飲み込まれていくことになるだろう。

 経営実態を可視化し、日々の組織マネジメントができている企業は生き残れるだろうが、多くの食品小売業は「経験、勘、度胸」が中心であり、過去の経験則が急速に通用しなくなっていることに対応できていない。

 たとえば販促では、新聞購読世帯の減少と高齢化で顧客への訴求力が減少しているのに、従来通りチラシ販促を前提とした仕入れと売場づくりを行っている。そして効果測定もせずに、無駄なコストを使っていることに気づいていない。

 こうした中、売上が落ち始めるとさらに「あの手、この手」とやみくもに施策を行い、結果ますます組織が疲弊することになる。

 では、この大競争時代を勝ち抜くために、どのような組織へ転換すればいいのかを解説していきたい。

他社に破壊される前に自己破壊できるか?

 まず認識したいことは、

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