百貨店の好調続く、M&A増えるも再建型は消滅へ 「2024年アパレル業界大予想」
百貨店好調もファッションビルアパレルは体力勝負へ
業態別2024年の動向
それでは、業態別に24年の予想をしてみよう。まず、中国人インバウンド客がさらに増えることにより百貨店は相変わらず好調を維持し、したがって、百貨店アパレルもその恩恵にあずかるだろう。ただし、日中関係がこじれたり、台湾有事、フクシマ汚水問題などはマイナス要因だ。
次にセレクトショップは、円安によりインポートの価格が高騰。二極化が進む消費市場のアッパー層を狙った商品展開をするため価格を上げ、より上質感を出すことも考えられる。その他、ファッションビルSPAアパレルはオペレーションと体力勝負となり、わずかなコストダウン、利益拡大を巡って血のにじむ努力が続き、優勝劣敗がハッキリすることになるだろう。
体力がなく業績が悪いアパレルはM&Aのえじきとなり大きな企業に吸収されることになるだろう。その他、ローワーエンドを受け持つマス・アパレルは頭角を現すだろう。だが、ここではシーインや韓国企業とのガチンコ勝負が待っている。このセグメントはもっともボリュームが大きいため、SDGsトレンドの広がりにより中価格帯の価格が上がることが予想されるため、価格上昇を敬遠する中間層が中価格帯からローエンドに降りてくることも考えられ、意外にも好調になるかもしれない。
商社は、財閥系は繊維・アパレル事業から撤退。伊藤忠、丸紅を加えた専門商社同士の戦いとなるが、上記のような「儲かる客」を選別してOEMを強化するだろう。優良顧客の囲い込みに敗れた商社はOEM以外の方向に道を見つけるか、違う事業を打ち出すが、なかなかうまく軌道にのらないのは今までと変わらない。
最後に、ファーストリテイリングだが、相変わらずの強さはますます磨きがかかり、過去最高売上、最高益を更新し、「世界ナンバーワン」の射程距離が見えてくるだろう。同社の強さは経営環境、プロダクト、人材などすべてにおいて隙が無く、また、時代の変化に沿っているからだ。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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