百貨店の好調続く、M&A増えるも再建型は消滅へ 「2024年アパレル業界大予想」
百貨店好調もファッションビルアパレルは体力勝負へ
業態別2024年の動向
![東京・銀座に並ぶ百貨店](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2023/03/20230302ds72_p.jpg)
それでは、業態別に24年の予想をしてみよう。まず、中国人インバウンド客がさらに増えることにより百貨店は相変わらず好調を維持し、したがって、百貨店アパレルもその恩恵にあずかるだろう。ただし、日中関係がこじれたり、台湾有事、フクシマ汚水問題などはマイナス要因だ。
次にセレクトショップは、円安によりインポートの価格が高騰。二極化が進む消費市場のアッパー層を狙った商品展開をするため価格を上げ、より上質感を出すことも考えられる。その他、ファッションビルSPAアパレルはオペレーションと体力勝負となり、わずかなコストダウン、利益拡大を巡って血のにじむ努力が続き、優勝劣敗がハッキリすることになるだろう。
体力がなく業績が悪いアパレルはM&Aのえじきとなり大きな企業に吸収されることになるだろう。その他、ローワーエンドを受け持つマス・アパレルは頭角を現すだろう。だが、ここではシーインや韓国企業とのガチンコ勝負が待っている。このセグメントはもっともボリュームが大きいため、SDGsトレンドの広がりにより中価格帯の価格が上がることが予想されるため、価格上昇を敬遠する中間層が中価格帯からローエンドに降りてくることも考えられ、意外にも好調になるかもしれない。
商社は、財閥系は繊維・アパレル事業から撤退。伊藤忠、丸紅を加えた専門商社同士の戦いとなるが、上記のような「儲かる客」を選別してOEMを強化するだろう。優良顧客の囲い込みに敗れた商社はOEM以外の方向に道を見つけるか、違う事業を打ち出すが、なかなかうまく軌道にのらないのは今までと変わらない。
最後に、ファーストリテイリングだが、相変わらずの強さはますます磨きがかかり、過去最高売上、最高益を更新し、「世界ナンバーワン」の射程距離が見えてくるだろう。同社の強さは経営環境、プロダクト、人材などすべてにおいて隙が無く、また、時代の変化に沿っているからだ。
河合拓氏の新刊、大好評発売中!
「知らなきゃいけないアパレルの話 ユニクロ、ZARA、シーイン新3極時代がくる!」
話題騒然のシーインの強さの秘密を解き明かす!!なぜ多くのアパレルは青色吐息でユニクロだけが盤石の世界一であり続けるのか!?誰も書かなかった不都合な真実と逆転戦略を明かす、新時代の羅針盤!
プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
河合拓のアパレル改造論2024 の新着記事
-
2024/07/16
ユニクロ式多頻度・小幅値下げとシーズン末大セール、どちらが得か -
2024/07/09
あなたの会社も要注意!「善意の行動」が仕組みを破壊するメカニズム -
2024/07/02
日本人が大好きな衣料品セール 安く買うのが難しくなる理由とは -
2024/06/25
「パリコレ」にアパレル業界人が行かなくなった理由 -
2024/06/19
インバウンドで最高益続出!日本人が知らない「百貨店の価値」とは -
2024/06/11
日本人の服がこの10年で「ペラペラ」になった本当の理由
この連載の一覧はこちら [29記事]
![河合拓のアパレル改造論2024](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2024/02/kawai_2024_main-1.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=0b125f4dd28306e2c3d972cfce4c4d31)
ファーストリテイリング(ユニクロ),しまむらの記事ランキング
- 2024-07-12値下げ率大きいユニクロと値下げ率小さいしまむら どちらが高収益?
- 2024-06-20店舗回帰で変貌!OMOが帰着する「ローカルロジスティクス」とは
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは
- 2021-03-05ビジネスは「一勝九敗」 ファーストリテイリングを世界的大企業に導いた“柳井哲学”
- 2021-05-04大丸、三越伊勢丹…誰も語れない百貨店分析 政府の施策が百貨店を殺す「本質的理由」
- 2024-06-29ファストリ12 兆円越え!上場小売業時価総額&ROA ランキング2024
- 2024-01-09ユニクロに負けずに利益を上げる!アパレル2024年「5つの論点」解決策とは
- 2021-05-18全産業中ワースト2位の不都合な真実、アパレル業界の環境破壊と人権問題を解決する方法
- 2023-11-07いまや日本ブランドを超越!国潮ブームでも「ユニクロ」だけ中国で好調な理由とは
- 2023-11-14GMS衣料のジレンマと真実!イトーヨーカ堂アパレル完全撤退の必然とは
関連記事ランキング
- 2024-06-25「パリコレ」にアパレル業界人が行かなくなった理由
- 2024-06-11日本人の服がこの10年で「ペラペラ」になった本当の理由
- 2024-06-19インバウンドで最高益続出!日本人が知らない「百貨店の価値」とは
- 2024-07-02日本人が大好きな衣料品セール 安く買うのが難しくなる理由とは
- 2024-06-04定番はユニクロ、ファッション品はシーイン…どうなる日本のアパレル
- 2024-07-09あなたの会社も要注意!「善意の行動」が仕組みを破壊するメカニズム
- 2023-01-06SHEIN TOKYO「売らない店」現地レポート!担当者が明かす、低価格3つの理由とは
- 2024-07-12値下げ率大きいユニクロと値下げ率小さいしまむら どちらが高収益?
- 2024-06-24業態別 主要店舗月次実績=2024年5月度
- 2024-06-20店舗回帰で変貌!OMOが帰着する「ローカルロジスティクス」とは
関連キーワードの記事を探す
値下げ率大きいユニクロと値下げ率小さいしまむら どちらが高収益?
ファストリ12 兆円越え!上場小売業時価総額&ROA ランキング2024
ユニクロ式多頻度・小幅値下げとシーズン末大セール、どちらが得か
値下げ率大きいユニクロと値下げ率小さいしまむら どちらが高収益?
ファストリ12 兆円越え!上場小売業時価総額&ROA ランキング2024
店舗回帰で変貌!OMOが帰着する「ローカルロジスティクス」とは