鈴木誠社長が語る、しまむらがコロナ禍でも業績好調の理由とは

2022/04/15 05:55
    野澤正毅
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    コロナ禍で苦しむアパレル業界において、業績好調なのがしまむら(埼玉県/鈴木誠社長)だ。2020年2月に就任した鈴木誠社長は、高感度、高品質、低価格を兼ね備えた「強いしまむら」への原点回帰を掲げて目下、商品力に磨きをかけている。特価商品を減らして、プロパー消化を重視。その秘密兵器がオリジナル企画商品だ。プライベートブランド(PB)やキャラクターに加え、メーカーとの共同企画商品「ジョイント・ディベロップメント・ブランド(JB)」を投入、差別化を図っている(注:インタビュー実施は3月上旬)。

    3期連続減収減益から業績回復へ導く

    20202月、コロナショック発生という多難な時期に社長に就任し、経営環境が依然厳しいなか、しまむらの業績を回復させました。

    鈴木 当社は202月期まで3期連続の減収減益でした。このトレンドに何とか区切りをつけ、再び成長軌道に乗せたいという思いで経営にあたり、212月期は対前期比で4%の売上増収、同65.4%の営業増益となりました。222月期も第3四半期までの累計で売上が同8%増、営業利益が同24.5%増で推移し、おかげさまで業績回復を実現できました。 

    21年度(222月期)~23年度の中期経営計画「リ・ボーン」では、原点回帰を掲げ、商品力と販売力のアップに取り組んでいるところです。当面の目標は過去最高の売上、利益の達成で、具体的には23年度に国内売上高5950億円(20年度実績は5366億円)、国内営業利益493億円(同381億円)、営業利益率8.3%(同7.1%)、3年間の新規出店100店舗をめざしています。

    どのように業績回復へと導いたのですか。

    鈴木 まずは「どうして減収減益が続いているのか」の原因究明から着手。その結果、「お客さまの心理が変わってしまったことに気づかず、してはならないことをして、やるべきことをやらなかった」からだとわかりました。

    「してはならないこと」の代表格が特価セールでした。過去の成功体験に引きずられ、「売上が厳しいと、セールでしのぐ」パターンが身に付いていた。お客さまは今や、いくら安くても欲しい商品でなければ買いません。そこでセールを縮小し、プロパー消化(値下げせずに正価で販売すること)の重視に舵を大きく切りました。

    そのためには、正価でも売れる商品づくりなどMD(商品政策)の改革が必要です。

    鈴木 独自性の高いオリジナル企画商品を強化しました。プライベートブランド(PB)やキャラクター商品のほか、2年前からはサプライヤーとの共同企画商品「ジョイント・ディベロップメント・ブランド(JB)」もラインアップしました。当社は、もともと仕入れがメーンでしたが、大きく方向転換したわけです。

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