競争に強い食品スーパーの作り方と「安さ」を効果的に訴求する方法を解説!

鈴木 國朗(アイダスグループ代表)
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食品スーパー1280

かねてのボーダレスな競争激化や、人口減少・少子高齢化といった社会問題、そして未曾有のインフレという新たな経営課題に直面する食品スーパー(SM)。どのような手立てを講じることで、厳しい環境を勝ち残り勝ち続ける、「強いSM」をつくり上げることができるのか。本誌おなじみのSM経営コンサルタント・アイダスグループ代表取締役の鈴木國朗氏が提言する。

強烈なインフレ下も「節約一辺倒」ではない

 コロナがようやく収束を見つつあるなか、今度はコストプッシュ・インフレという新たな問題が、SM各社の経営に重くのしかかっている。もともと営業利益率が数%というSMのビジネスモデルにあって、致命的ともいえる状況である。

 その一方で、新規出店のペースはやや加速傾向にあるようだ。もちろん賃料や建築コストも高騰しているものの、小売業にとって出店なくして売上成長を継続することはできない。コロナ禍で新規出店への投資を抑えていた企業も多く、コロナ明けのこのタイミングで、積極的な出店戦略に転じるケースが目立つ。各社が新しいビジネスモデルへのチャレンジを含め出店攻勢をかけるなかで、競争はより熾烈なものになっていきそうだ。

 他方、インフレの進行は消費者の購買行動に大きな影響を及ぼしている。複数のシンクタンクの調査データや、筆者のクライントであるSMの販売データなどを見ていても、幅広い品目で値上げが続いているなかで、低価格志向がやはり顕著に出ている。とくに買い上げ点数や来店頻度が減少傾向にあり、「買う点数を減らして支払い額を抑える」「買物に行く回数を抑えて支出を減らす」といった消費者心理が働いているようだ。

 SMはこうした消費者の生活防衛意識の高まりに対して、店頭はもちろん、チラシ、インターネット上などで大々的に価格販促を展開し、集客のための努力をこれまで以上にしていかなければ、生き残ることはできないだろう。

 しかしその一方で、「ストレス発散購買」と表現できるような購買行動も見られる。日々の買物を節約一辺倒で完結するのではなく、「何か1品、自分が欲しいと思った商品を買ってストレスを発散する」といったものである。たとえば昨今、SMの冷凍食品売場では1個1000円を超えるような冷凍スイーツが並んでいる様子をよく目にするようになった。こうした嗜好品では、高単価であっても一定数のニーズがあるのだ。売り手としても価格ばかりを訴求するのではなく、厳しい消費環境の中でのお客の“ストレス発散”に寄与するような、付加価値型の品揃えも同時に求められる。

 加えて、買物頻度が減少するなかで、商品の「日持ち」に対してシビアな目線を向ける消費者も増えている。昨今は製造技術の発展もあり、精肉を中心にこれまでよりも消費期限の長い商品が登場。同じような商品でも店舗間で「日持ち」に差が出るようになってきた。そのため、「買った商品が次の日には鮮度が落ちていた」という体験は、これまで以上にネガティブなものになり得る。

「安さ」を効果的に訴求する売場づくりを

 こうした経営環境と消費者の変化をふまえ、SMはどのように競争を勝ち抜いていくべきか。結論から言えば、

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