あけましておめでとうございます。本年も昨年同様、どうぞよろしくお願いいたします。今回は、2022年に株価が大きく伸びた企業、逆に大きく下がった企業について名前を挙げその要因について説明するとともに、2023年の小売業を取り巻く、注目すべき3つのテーマについて解説したいと思います。
2022年は小売“株”にとって良い年だった
2022年の株価動向を簡単に振り返ると、東証株価指数が▲4%下落したなかで、小売株指数は+9%上昇していて、小売“株”にとって実は良い一年でした。
事業環境は概ね逆風だったと思います。所得よりも物価の上昇が厳しく実質所得の目減りが続き、移動制限が緩和されモノからコトへ消費対象が広がり、さらに光熱費の上昇が事業者の利益率を圧迫しています。
株式市場の動きはこの観点から見ると少し理解しかねるように思えます。
しかし、一度、個別企業レベルで眺めて見ると、腑に落ちやすくなります。
なぜなら、時価総額の大きい企業ほど、先に述べたようなマイナス要因を打ち返す材料があったため、総じて株価が上がったからです。
2022年、10%以上株価が上昇/下落した小売業とは
以上、13社の中で、
株式市場は、次の点をプラス評価したと考えられます。
- 北米収益の貢献(ファーストリテイリング、セブン&アイ)
- 事業の集約(セブン&アイ)
- M&A効果発現期待(マツキヨ、ヤマダ)
- 行動制限解除後のリベンジ消費(百貨店、エービーシーマート)
- 節約志向の取り込み奏効(パン・パシフィック、しまむら)
株式市場は次の点をネガティブ評価したと考えられます。
- コロナ禍特需の一巡(ドラッグストア)
- 原価上昇(良品計画、FOOD & LIFE、セリア)
- 金利上昇・リスクプレミアムの上昇(MonotaRO)
2023年の小売業を取り巻く3つのテーマとは
次に、2023年の予想、というよりも筆者の注目点をご紹介させてください。
日銀が長短金利操作に柔軟性をもたせたことで円安一辺倒になる可能性は低下したと思います。また原油価格は高止まりこそすれ、欧米が景気抑制に向かっていることから、一方向に上がっていくとは考えにくいと思います。つまり輸入依存型の日本の小売業にとって逆風は弱まると思います。
そこで第一は、復活劇の有無。
外部環境が落ち着くのであれば、ニトリホールディングス、良品計画、あるいはセリアの経営陣の真の実力が問われるはずです。
第二は合従連衡。
前回、Eコマース・広告・決済を束ねる楽天やZホールディングスなどの企業がどのようにリアルの小売事業者と組んでいくのかが試される時期が近づいたと述べました。ただ、リアルの小売事業者の観点から見ると、こうした連携は収益基盤の補強にはなるにしても、それを超える劇的な競争力強化にはなりにくいと思います。
となると、毎度のことになりますが、いまだ十分集約の進んでいないホームセンターやドラッグストア業態の集約を予想せざるを得ません。いち早く大型M&Aを成立させたマツキヨココカラはライバルからどう見えているのでしょうか。
また、業界集約が予想されるなか、自社のポジションを高めるためには株価を高めておくことが必須です。先日、ジョイフル本田の中期計画について述べさせていただきましたが、資本コスト、成長投資、株主還元が三位一体となった事業展望の良い意味での競い合いが増えてくると思います。
第三は中国消費の取り込み。
中国は現在ゼロコロナ政策を撤回し、新型コロナウイルス感染者が急増している模様です。今後の政策について筆者のような素人が語る資格は乏しいと思いますが、あえて考えていくとすると、改めてコロナ封じ込めに回帰する可能性も否定できません。
しかし、筆者はデフレ下でデレバレッジ(過剰債務の削減)を進めるべき局面に中国はあると認識しており、そのためには経済活動の過剰な抑制が芳しくないと当局が考えているのではないかと推察します。
道筋について国民の同意が得られているのかは分かりかねますが、春先までに気が付いたら集団免疫を達成しているという可能性も考えておくべきではないでしょうか。
その意味で言うと、ファーストリテイリング、良品計画、イオン、中国本土進出済みの飲食チェーンなどが、中国国内消費の回復をしっかり収益化できるのかが大きなポイントになると思います。クロスボーダーECサイトも同様です。
また、伊藤忠商事傘下に入り中国ビジネスの道筋をつけつつあるデサント、中国での販売を拡大しつつあるスノーピークなどの事業展開にも注目しています。
2023年が平和でみなさまにとってより良き年になることを心より願っています。どうぞよろしくお願いいたします。