「こんな商品見たことない!」 東三河のローカルスーパー 「クックマート」の催事提案

2021/11/10 05:55
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    平均売場面積300坪で
    年商27億円を稼ぐ

    愛知県豊橋市の「クックマート東脇店」。
    愛知県豊橋市の「クックマート東脇店」。

     東三河・浜松エリアで食品スーパー「クックマート」を展開するデライト(愛知県/白井健太郎社長)をご存じだろうか。

     同社は2020年度末の店舗数は11店で、売上高は298億円(コンセッショナリー・テナントを含む)。店舗間競争が激化するなか、ここ4年間で新規出店をせず、既存店の成長だけで売上高を14.1%も増加(17年度の261億円との比較)。店舗の平均売場面積は約300坪と比較的小ぶりながら、1店当たり平均年商で27億円を稼ぐ実力の持ち主だ。しかも全店20時閉店で、集客のためのチラシ販促をしていないというから驚きだ。

     そんな強力な“稼ぐ力”を持つ「クックマート」の強みが、従業員のアイデアから次々と生み出される独自商品だ。

     10月31日、本社のある愛知県豊橋市で展開する「東脇店」「飯村店」「牛川店」の3店を訪問し、同時実施していたハロウィンの催事提案から、来店客の購入意欲を刺激する、ユニークな商品たちをレポートする。

    ハロウィン
    ハロウィン当日の「飯村店」の総菜売場。クックマートは催事提案に力を入れており、ユニークな商品が所狭しと並ぶ

    外食気分が味わえる
    盛り合わせ商品

     まず「クックマート」の店頭で目にとまるのが、盛り合わせ商品だ。

     他社との違いは、希少部位を含めて多品目を詰め合わせている点だ。たとえば、鮮魚売場では、「頭肉」「ホホ肉」も入った「本まぐろ希少部位盛り合わせ」を販売。こうした希少部位を扱えるのは、鮮魚は取引先との交渉、精肉は一等買いで仕入れることによって可能にしているという。

     ふだん食べない部位も入ることで、コロナ禍で外出控えらえるなかでの、外食ニーズを満たしてくれる商品と言える。

    「本まぐろ希少部位盛り合わせ」
    「本まぐろ希少部位盛り合わせ」。鮮魚は取引先との交渉により「頭肉」「ホホ肉」などの希少部位も入った商品を提供する

     幅広い価格帯の商品を用意しているのも特徴だ。

     たとえば、精肉売場では、地元の銘柄肉「田原牛」の6種類の部位の盛り合わせ「極」から、「中トロ入刺身盛合せ」、「3点盛り」、豚肉や豪州肉が入った「満腹セット」などを販売。それぞれのシーンやニーズに応じて、商品が選べるようにしている。また「極」のような上の価格帯の商品あるからこそ、今後もハレの日にあてにされるような提案力の高い売場を演出できるほか、中・低価格帯の商品の動きもよくなる効果があるという。

    精肉売場
    精肉売場の盛り合わせ商品
    鮮魚1
    鮮魚売場の盛り合わせ商品。幅広い価格帯の商品を提供することで、来店客がそれぞれのシーンやニーズに応じて、商品を選べるようにしている
    鮮魚2
    鮮魚売場で販売していた「お刺身盛り合わせ」。上の価格帯の商品を用意することで、ハレの日にあてにされるような提案力の高い売場を演出する

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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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