「こんな商品見たことない!」 東三河のローカルスーパー 「クックマート」の催事提案

2021/11/10 05:55
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    「ケーキ寿司」「肉巻餃子」…
    斬新なオリジナル商品

     他社では見かけない新しい商品も多く販売している。
     たとえば、総菜売場で一段と存在感を放っている、具材をケーキのように飾ったチラシ寿司「ケーキ寿司」や、精肉売場で販売している、餃子のネタを地元の銘柄豚でくるんだ「肉巻餃子」などだ。
     これらは、パート・アルバイトを含む従業員のアイデアから生まれたもので、今や「クックマート」の名物商品になるほど支持を得ている。

    総菜売場で一段と存在感を放っている「ケーキ寿司」。「ハレの日の食卓が一気に華やかになる」と大人気だ
    餃子のネタを地元の銘柄豚でくるんだ「肉巻餃子」。クックマートのオリジナル商品だ

    独自の社内制度で
    従業員の自発性を促す

     なぜ「クックマート」はこのようなアイデア商品を次々と生み出せるのか。
     その背景にはデライトの独自の組織開発がある。同社は、本部主導で現場が支持・命令に従うような店舗運営ではなく、「一人ひとりが『働き甲斐』を感じられる組織こそ、従業員のパフォーマンスを高め、結果的に業績を伸ばすことにつながる」という考えのもと、「人を幸せにする新しいチェーンストアの創造」をビジョンに掲げている。
     
     このビジョンを具現化するべく、「現場の一人ひとりが自ら興味・関心・好奇心を持って、よく見て・気づき・考え、個々の能力を発揮することで各地域に密着した強い店づくりができる組織をめざしてきた」(デライトの白井健太郎社長)という。

    売場
    「飯村店」の総菜売場。駐車場が満車状態になるほど多くの来店客で賑わっていた

     「クックマート」の店舗運営は、各チーム(デライトで「部門」のこと)のチーフが、各チームを指揮する本部の「統括」と連携して、仕入れや売場づくり、価格設定まで権限を持って行う。そして店長が、チーム間、また店全体の連携を促すことで、店舗の一体感や競争力を最大限に引き出せるようにしている。

     それだけではない。デライトでは従業員の声を反映し年々進化させる「社内制度」を構築しているほかに、店長とチーフによる月に1回の「1on1ミーティング」、店舗や部門の垣根を越えて情報交換や交流ができる「社内SNS」など、コミュニケーションを活発化させる制度も導入しており、これによって心理的安全性が高く、従業員が自発的に行動できる組織文化を醸成しているのだ。

     従業員のアイデアを引き出すことができれば、独自性のある強い店づくりができるということを「クックマート」の売場は体現している。

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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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