ドラッグストアのシェアはまだ 14%弱 細分化した調剤市場で成功する方法!
大手ドラッグストア(DgS)や食品小売などさまざまなプレーヤーが参入し、ボーダレスな競争が展開され始めた調剤市場。しかし、調剤はその専門性の高さや、これまで門前薬局が大きなシェアを有してきたという背景もあり、他業種・他業態から見るとある種の閉鎖的な市場ともいえるだろう。調剤市場のこれまでの変遷と現況、将来性、そして新規プレーヤーが事業を成立させるうえで欠かせない条件などについて、医薬ジャーナリストの藤田道男氏が解説する。
市場規模は7兆円超も縮小期が到来へ
まず初めに、調剤市場の歴史と現況について確認しておきたい。調剤は、「医師の診断・処方」と「薬剤師の調剤」という専門家の役割分担(=医薬分業)の中で、薬剤師が行う「薬の取り揃え」や「調製に関する業務全般」を指す。
調剤には「薬剤師が医師の処方せんに基づいて、調剤室で薬を取り揃え、調製して患者に交付する行為」とする狭義の概念と、「処方せん受付時から薬の取り揃え、調製、交付後のフォロー、医師への情報フィードバックまでを含む」という広義の概念があるが、日本においては調製行為という狭い概念でとらえる傾向が長く続いてきたことは否めない。
わが国において医薬分業、すなわち調剤ビジネスがスタートしたのは1970年代からであり、歴史的には50年に満たない。それ以前、日本では医師から直接薬を受け取る習慣が根付いており、医薬分業の仕組みがなかった。そのため当時の薬局は調剤から“疎外”され、もっぱら市販薬、化粧品、衛生雑貨などの販売で生計を立てていた。
しかし60年代に国民皆保険制度が整備され、医療へのアクセスが改善された一方、同時に医薬品による副作用発現などが相次ぎ、“薬漬け医療”が社会的な問題となっていた。このため、国が医薬分業の導入を決意、さまざまな施策を打ち出したことが契機となった。 とくに医療機関からの処方せん発行を促す政策を打ち出した74年は、後に「分業元年」と呼称されるようになる。
分業元年以降、それまで物販で生計を立てていた街の薬屋の中から、調剤を専業とする調剤薬局を開設する動きが出てきた。多くが病院や診療所の近隣に位置する門前薬局の形態だった。医療機関から近い立地で効率的に処方せんを応需するためである。この当時に生まれた門前薬局は現在でも薬局の75%程度を占めている。
分業元年当時は、分業率[=処方せん枚数÷(投薬対象患者数×投薬率)]はわずか0.6%であり、市場的にも数百億円程度だったが、その後徐々に進展し2000年以降は急速な右肩上がりを見せ、20年には分業率75.7%、
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