H2Oと関西スーパーが経営統合を選んだ理由とは?巨大リージョナルSM連合誕生の背景
エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング(大阪府/荒木直也社長)は8月31日、兵庫県、大阪府、奈良県で店舗展開する関西スーパーマーケット(以下、関西スーパー、兵庫県/福谷耕治社長)と経営統合すると発表した。関西スーパーは今後、株式交換、吸収分割を通じ、すでに傘下にある阪急オアシス(大阪府/永田靖人社長)、イズミヤ(大阪府/梅本友之社長)とともにH2Oの100%子会社となる。関西スーパーの営業収益は1309億円(21年3月期)、64店舗を展開する。
これにより店舗数243店、4000億円(前期決算売上高の合算)を超える、巨大SM連合が誕生する。H2Oは今年7月にも、売上高3794億円(21年2月期)を誇る万代(大阪府/阿部秀行社長)との包括業務提携を発表している。関西エリアでは、さらに競争激化が進むと見られる。
なお関西基盤のSM企業にライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)がある。21年2月期における「近畿圏」の店舗数158店、売上高3758億円。今回のH2Oによる子会社化の動きだけでライフを抜く計算になる。
子会社化発表の同日、H2Oと関西スーパーは記者会見を開いた。今回の経営統合、さらにこれからの展望について、質疑応答をまとめた。
マスメリットを生かし、コストを共有、低減する
──関西スーパーを子会社することで具体的に何が可能になるか。
H2O荒木社長 今回、資本関係を強化、関西スーパーとの経営統合を発表した。これから商品、取引先、物流、ITなど多方面で取り組みを進めていく。マスメリットを生かし、コストを共有、低減する。現状H2Oは、傘下にイズミヤ、阪急オアシス、カナートの3社を抱えるが、今回の経営統合を契機にオペレーションの標準化、共通化、また生産性向上、風土改革を進めたい。
第1ステップとして、現状の3社における改革を優先して進める。関西スーパーとの運営機能、業務統合は、その次のステップで行う見通しだ。時期は未定だが、できるだけ早く実行に移したい。
──経営統合すれば店舗数は243店と関西エリアでナンバーワンに躍り出ることになる。
H2O荒木社長 ただ店舗数だけで何かが達成されるわけではないと考えている。
傘下の阪急オアシス、イズミヤ、関西スーパーは、ある意味では競合しているように見える。しかしいずれのブランドには特徴があり、それぞれが地域に根差した店舗を展開している。その意味では、関西エリアのお客さまを、3社トータルでシェアすることになる。このなか、それぞれのブランドを生かし、お客さまの来店動機を高めていきたい。