出直るセブン&アイ株 Speedway買収への期待、脱コングロマリットへの思惑はどこまで織り込んだ?

椎名則夫(アナリスト)
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Speedway買収効果を織り込み始める!?

米イリノイ州にある米マラソン・ペトロリアムのガソリンスタンド「スピードウェイ」
株式市場はすでにセブン&アイ株価にSpeedwayを織り込んでいる?(2020年 ロイター/Kamil Krzaczynski)

  ここで忘れてはならないのが、2019年12月末には折り込まれていなかったSpeedwayの大型買収(20208月発表)の株式価値に対する影響です。以下の簡単な試算に従うと「上乗せ」を説明できそうです。

 セブン&アイは本買収が2024年度に連結EPS50円押し上げると説明していますので、この50円に自己株式を除いた株式数883百万株とPER15倍をかけると6600億円の株主価値の増加要因になります。これを少し割引し、上記で触れた今後継続しそうな事業環境のマイナス要因を加味すると、上記の上乗せ3500〜4000億円が見えてきます。

 株式市場は、米国のワクチン接種率の高まりをみて、Speedwayの統合効果をセブン&アイ株式に織り込み始めたと考えて良さそうです。

順延された新中計にも期待が醸成されていた!?

  株式市場がSpeedway買収効果を織り込み始めたことは間違いないと思いますが、筆者はもう一つ別の期待を強めていると推察しています。それは、同社がいよいよ不採算事業である百貨店事業・専門店ないしスーパーストア事業の切り出しを、来るべき新中期計画でコミットすることです(この新中計発表は、Speedway買収承認に障害が出たため、順延されています)。

  2021年5月12日にバリューアクト・キャピタルが同社の株主になったことが報じられました。コンビニ事業に特化すべきと主張している模様です。興味深いことに、この報道が出たあと一旦株価は上昇したものの2日後には下落に転じ、5月末までを通算すると株価に大きな変動はありませんでした。これは、株式市場が「すでに同社の脱コングロマリットを織り込んでいる」というのが筆者の見立てです(バリューアクトが登場しても脱コングロマリット化は実現しないと株式市場が考えているのかもしれませんが)。

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