決してひっくり返らない“ムカデ経営”でめざすは国内3兆円=アークス 横山 清 社長

聞き手・構成:大木戸 歩
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CGCグループ4兆2000億円の規模を生かす

──共同仕入れ機構CGCグループ内でのM&Aが続き、アークスが5000億円、アクシアルリテイリング(新潟県/原和彦社長)が2000億円というように、大規模化するチェーンが出てきました。CGCグループは本来、大手に対抗するための中小企業連合という位置づけでしたが、今後はCGCのあり方も変わっていくのでしょうか?

横山 これについては、グループ内での提携があっていいと考えています。今でも「弱きを助け、強きをくじく」というコンセプトはありますが、現実にそれだけでは明日がないということはみんなわかっているはずです。そのことに早く気付いたところが手を組み始めています。

 いいとこ取りで各社が好き勝手にやっていては、前に進めません。二人三脚では前に進めていたものが、三人四脚になった途端に身動きが取れないという状況になりかねません。

 アークスがめざしているのは、いわば「ムカデ経営」。脚が100本あっても200本あっても前に進める仕組みです。ホールディングスとしてヒト、モノ、カネ、情報や運営技術などを含めて一つになり、同じ方向に向かって進んでいく。ムカデは絶対にひっくりかえらないことから、中国では縁起のいい虫だそうですよ。

アークス

──アークスグループに参加する企業が増えれば、グループ内競合も出てきます。

横山 ホールディングスの子会社を核とし、それを膨らませていけば、場合によっては出店エリアが重なり、グループ内で競合することもあるでしょう。ただ、自社競合自体は、従来からあることです。

 いずれ、地域の城下町を築いていたような企業がなくなり、エリアの情勢が一気に変わるということも起こり得ます。この先は否応なしに各地で需給バランスの調整が起こると思うのです。

 従来は閉店するのが良くないことのように見られましたが、今は違います。出店も、閉店も、状況に応じてできる企業のほうが時代に適応していると言える。出店の際に大きな投資をしているので、閉店はなかなかできません。それでも不採算店舗を閉めることができる企業は、生き残ります。そして、生き残るということが、消費者のニーズに適応しているということなのです。

──大手各社のプライベートブランド(PB)商品が、市場で存在感を増しています。アークスは年商5000億円規模になりますが、独自にPBを開発する可能性はありますか。

横山 PB開発を独自にやることも可能な規模ではあります。ただ、CGCは単純な卸売業でも勉強サークルでもありません。もう30年もやっていますし、CGCには腰までどっぷりと浸かって、大事にしたいと考えています。

 PB開発を当社が一からやる必要はありません。CGCにできないもので、ローカルのニーズに対応したものが必要なら、PBというよりは、アークスブランドで売るもよし、アークス限定でやるもよしです。単独でやるよりも、4兆2000億円というCGCグループの力を利用したほうがいいと考えています。

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