年間2ケタ以上のNSCを開業!地域密着の商業集積めざす=イオンタウン 大門 淳 社長
イベントとハッピーレター運動が差別化の柱
──では具体的にイオンタウンはどのようなことに力を入れているのですか。
大門 2つあります。
1つは地域密着型のイベントの実施です。これは一般的な「キャラクターショー」や「ヒーローショー」、芸能人や歌手によるイベントではなくて、NSCの手づくりの企画です。地元の中学校や高校の吹奏楽部による演奏会、調理師の専門学校生による料理教室など、地元の人が参画する内容のイベントです。NSCに入居する専門店が独自に商品選びのポイントなどをお客さまにレクチャーするイベントもあったりします。実際、現在、一部のNSCで年間数百回のイベントを行っています。
数あるイベントのなかでも吹奏楽部による演奏会は定番になっていて、それを楽しみにNSCへ来場するお客さまも少なくありません。イベントの企画についても、NPOや学校の関係者から一緒にやらせて欲しいという要望をたくさんいただけるようになってきています。
大きなSCならばイベント開催のための予算がありますが、NSCはあまりお金をかけられません。ですからイオンタウンや専門店のスタッフ、そしてパートタイマーやアルバイトがアイデアを出し合い、企画を練っているのです。この地域密着型のイベントは旧ロック開発の時代から取り組んでいて、だいぶ定着してきました。
──地元の住民や学校、そしてテナントのスタッフも巻き込んでいるのですね。
大門 そうです。
NSCのパートタイマーやアルバイトは地元雇用の方が大半ですから、以前からイオンタウンを利用していた方が多くいます。そのスタッフの方からもイベントのアイデアを出してもらいます。自分が考えた企画が実際のイベントとして開催されると、大きな励みになります。NSCのスタッフもお客さまも楽しめる、双方にとってメリットがある取り組みといえます。最終的には、地元の方々とNSCのスタッフによってイベントが主体的に企画・運営されるようにしたい。そうなればお客さまにとっては「私の街のSC」になります。
そしてもう1つは「ハッピーレター運動」になります。
これは「すべてはお客さまのために! お客さまが喜ばれることならなんでもしよう!!」をスローガンに、各イオンタウンの全スタッフが、お客さまに喜んでいただいたこと、お褒めいただいたことなどを「ハッピーレター」にしてイオンタウンに提出する取り組みです。専門店、清掃業者、警備の方も対象です。これは3~4年ほど前から開始し、今では1カ所のイオンタウンから年間100通以上の報告があります。
取り組み内容はそれで終わりではありません。提出された「ハッピーレター」のなかで、とくに心に残る対応をされたスタッフ10人程度を、当社で年に1回行われる政策発表会へお招きし、表彰させていただいています。また、その方々の所属会社の経営トップにもお礼状をお送りし、感謝の気持ちを伝えるようにしています。
「ハッピーレター」の内容は、その対応をしたスタッフにとってはほんの些細なことかもしれません。しかし「お客さまに喜んでいただいた」という事実をイオンタウンが大切にし、さらに表彰もされるとなれば、そのスタッフはより笑顔で接客できるようになると思います。
スタッフが自らの職場であるSCに愛着を持ち、お客さまにも「私の街のSC」と感じていただけるようになれば、それがイオンタウンの存在意義になるのだと思います。
当社は、日本や中国、アセアン地域におけるナンバーワンのNSCデベロッパーをめざしています。事業の規模や内容はもちろん、お客さまや地域、そしてSCで働くすべてのスタッフとその家族から高く評価されてこそ「ナンバーワンNSCデベロッパー」になれると考えています。